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マキバカスミカメによる小豆吸汁被害(図1)は、1998年に実施した発生状況調査では網走・十勝支庁管内のほぼ半数のほ場で認められ、また北海道南部の檜山支庁厚沢部町でも被害発生の報告がある。本種は北海道内に広く分布しているため、道内全ての小豆栽培地帯では多少とも被害が発生しているものと考えられる。 |
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ほ場でのすくい取りによる発生消長調査(図2)、室内飼育試験により得られた発育零点(8.6℃)と一世代経過に必要な有効積算温度(465.1日度)および約15時間以下の日長で発育した場合は産卵しないことから、本種は成虫で越冬し、北海道東部では年2回発生することが確認された。小豆の生育期との一致から、第2世代幼虫と成虫が小豆を加害する。 |
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本種は多種類の植物を寄主とし、様々な作物・植生間を移動しながら増殖する。そのため、単独の調査場所で発生の全容を捕らえることは困難である。 |
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成虫・幼虫の放飼試験により、収穫した子実に発生する吸汁被害粒の他、莢の脱落・しいなの発生が認められた。これらから、検査等級の下落以外に、収量にも影響すると考えられる。 |
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室内での殺虫試験およびほ場での薬剤防除試験から、小豆のカメムシ類に農薬登録を有する有機リン系のMPP乳剤、MEP乳剤の効果が高いことが明らかとなった。 |
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適期の薬剤散布1回で、収穫時の吸汁被害粒率を無処理比20以下に低減できる(表1)。 |
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薬剤散布時期と吸汁被害粒率の関係から、薬剤散布適期は積算温度(開花始日からの毎日の平均気温の積算)が515〜520日度の時期である(表2)。北海道では8月中の平均気温は20℃前後であることから、散布を予定する前日に積算気温がおよそ500日度に達しているならば、その翌日は薬剤散布適期である。 |