| 1. |
年降水量から蒸発散量を差し引いた余剰水中の硝酸性窒素濃度として10mg/Lに相当する窒素量を残存許容量とし、これに作物による窒素持出量を加えたものを窒素環境容量と定義する。 |
| 2. |
道央の露地野菜畑におけるモニタリング調査では、圃場への投入窒素量が窒素環境容量の範囲内である場合、浸透水中の年平均硝酸性窒素濃度は環境基準を下回る(図1)。 |
| 3. |
窒素環境容量は、気象条件や作物の種類、作付面積および収量等によって異なる。そこで、(1)農水省GEPデータを用いて「余剰水からみた硝酸性窒素の残存許容量」を、(2)北海道農林水産統計(1999)から作物による窒素持出量を求め、(1)と(2)の合計により市町村を単位とした窒素環境容量を試算する。 |
| 4. |
窒素環境容量の全道平均は183±41kg/haであり、草地主体(225kg/ha)>畑酪主体(200)>畑作主体(170)>水田主体(159)の順である(図2)。 |
| 5. |
各種統計等に基づき市町村毎の施肥、ふん尿、生物固定、かんがい水由来の投入窒素量を求める。これから窒素環境容量を減じた超過窒素量の全道平均は2±52kg/haであり、畑酪主体(24kg/ha)>畑作主体(20)>水田主体(-8)>草地主体(-12)の順である(図3)。 |
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地下水(井戸水)の硝酸性窒素濃度の全道平均は3.8±4.8mg/Lであり、比較的高い濃度を示す市町村は超過窒素量がプラスを示す市町村と符合する(図3)。7.畑作および畑酪を主体とする市町村では、超過窒素量がプラスとなる市町村の一部で地下水中の硝酸性窒素濃度が環境基準を上回る(図4)。 |
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このことから、地下水の硝酸性窒素濃度を環境基準以下に維持する窒素管理方策として、投入窒素量を窒素環境容量の範囲内とする肥培管理が有効である。 |