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現地調査より,下層に残存する硝酸態窒素はハウス建設後年数の経過につれ高まる。冬期に被覆を剥がすと春先に深さ40cm以下にも硝酸態窒素が残存し,周年被覆ハウスでは表層から深さ60cmまでに多く残存する。泥炭ハウスでは夏期の窒素供給が特に多い。 |
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土壌診断に基づく施肥対応を十分に行っていない産地では深さ1mまでの硝酸態窒素および有効態リン酸・交換性塩基が蓄積傾向にある。各地域とも有効態リン酸が高まると下層の残存硝酸態窒素も増加するが(図3),有効態リン酸が100mg/100g未満では下層に20kg/10a以上の硝酸態窒素が蓄積したハウスは少ない。 |
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下層窒素(60,90cm深)と追肥窒素(定植後28,42日目)の影響を比較した結果,定植前に深さ20〜60cmに残存する硝酸態窒素は,深根性作物であるトマト栽培では追肥時期に利用され,追肥窒素と同様に吸収されると評価することができる。ただし,砂礫層等で根群域が制限されると評価できない。根群域が浅い軟白ネギでは,下層(深さ40cm)の硝酸態窒素を利用できない(図1,図2)。 |
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容積重が1Mg/m3のとき深さ10cm毎に残存する硝酸態窒素1mg/100gは追肥窒素1kg/10aに相当し,深さ20〜60cmでは1mg/100gは4kg/10aに相当する。また,施肥量を算出するために容積重が必要となるが,春の被覆前の土壌含水率%;xから「0.0001x2−0.03x+1.94」の式で推定できる(図4)。 |