| 1. |
試験期間中の平均水収支は、降水量が 879mm、蒸発散量(推定値)が 394mm、地下浸透水量が 335mmである。地下浸透水量は過去10年間の推定平均値 314mmと同水準にあり、試験期間の水収支は標準的な値である。 |
| 2. |
浸透水中の硝酸態窒素濃度は、投入窒素量が多いほど高い。根張りの深い秋播小麦やてん菜では生育ステージが進むにつれて急激な濃度低下が認められるが、馬鈴しょではこのような濃度低下は見られない(図1)。 |
| 3. |
硝酸態窒素の溶脱量及び溶脱率は、投入窒素量が多いほど高まる。また時期的には、融雪期および 9〜10月に窒素溶脱のピークが認められる(図2、図3)。 |
| 4. |
深根性作物を含む畑作における地下浸透水の年平均硝酸態窒素濃度が10mg/Lを超過しない年間投入窒素(施肥窒素+施用有機物からの放出窒素)の限界量は約15kg/10aである(図4)。 |
| 5. |
標準的な畑輪作体系において、施肥標準および有機物施用に伴う施肥対応を行う場合の年間投入窒素量は限界量以下であり、地下浸透水の年平均硝酸態窒素濃度が10mg/Lを超過する恐れは少ない。 |
| 6. |
最終的に地下水中の年平均硝酸態窒素濃度を10mg/L以下とするためには、作付体系あるいは土地利用における平均投入窒素量を限界量以下にする必要がある。 |