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供試センサはトラクタ搭載型のN-sensor(Hydro Agri社製)で、トラクタの前方左右、後方左右の4方向を測定域とする4つの受光部(俯角26°、視野角12°、前後方向角45°)および入射光測定用受光部からなる分光反射センサである(図1参照)。分光測定データは専用のコントローラ内部で演算処理が行なわれ、1秒間隔でSV値と呼ばれる指標がモニタに表示される。 |
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定置試験におけるSV値の変動は特に午前中や雨天時、日射量の変動が大きい条件で顕著である(図2)。測定条件は曇天もしくは快晴日の12時から14時頃が適している。 |
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秋まき小麦の幼穂形成期以降におけるSV値は、SPAD値と高い正の相関を示し、圃場、生育時期、播種量を問わずほぼ同一に近い直線で回帰できる(図3)。また、SV値は生育時期全般において葉色と生育量を反映した生育指標、例えば窒素吸収量のような指標と相関が高い(図4)。 |
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秋まき小麦の幼穂形成期におけるSV値と収量との間に正の相関が認められ、SV値により圃場内における収量のばらつきが推定できる(図5)。 |
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止葉期から開花期におけるSV値と子実蛋白含有率との間に圃場ごとに正の相関が認められ、SV値により圃場内における子実蛋白含有率のばらつきが推定できる(図6)。 |
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幼穂形成期のSV値が大きい箇所では倒伏が多い傾向にあり、圃場内の倒伏危険箇所が推測できる(図7)。 |
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以上のことから本センサは、センシング時期に応じて収量や子実蛋白含有率の均一化、倒伏の軽減を目指した可変追肥への応用の可能性がある。 |