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| [背景・ねらい] |
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乳牛の運動器病は、泌乳器病、生殖器病に次いで発生が多く、除籍や生産性の低下に結びつきやすい。なかでも蹄疾患はその多くを占め、近年増加傾向にある。蹄疾患のうち栄養と関わりの深い蹄底潰瘍は、ルーメンアシドーシスを引き起こすような飼料中デンプン含量の増加によって発生しやすくなるとされている。
そこで、分娩後に給与する飼料中のデンプン含量とルーメンアシドーシスおよび蹄底潰瘍発生との関連を明らかにする。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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| 1. |
デンプン含量の異なる飼料を分娩直後から給与した場合にはデンプン含量30%以上で、また、分娩1週後から給与した場合にはデンプン含量40%で蹄底潰瘍が発生したことから、飼料中のデンプン含量が30%以上になると蹄底潰瘍が発生しやすくなると考えられる(表1)ことから、デンプン含量は25%を超えないことが望ましい。 |
| 2. |
飼料中のデンプン含量を増加させるほど、蹄底出血斑数および蹄底出血スコアも増加する傾向がみられる(表1)。 |
| 3. |
飼料中のデンプン含量を増加させるほど第一胃液pHは低下する傾向を示し、亜急性ルーメンアシドーシスの基準とされるpH5.5以下の値(穿刺法)は、飼料中デンプン含量を40%とした場合にのみ認められる(図1)。 |
| 4. |
蹄底潰瘍は分娩後86〜137日に発生したが(表2)、蹄底潰瘍発症の2週間以上前から跛行スコアの異常が認められる(表3)。 |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
飼料中デンプン含量についての成績は、デンプン源として圧扁とうもろこしを用いた混合飼料給与体系で適用する。 |
| 2. |
試験飼料中の圧扁とうもろこし割合は、デンプン含量25、30、35および40%区でそれぞれ飼料乾物中37、45、52および60%であった。 |
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