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| [背景・ねらい] |
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牛群検定情報のMUN記録の活用をめざし北海道におけるMUNの平均値を推定した。また、赤外線牛乳分析装置より得られる個体乳MUNの特性を、参照法である酵素法分析値との「差」を用いて明らかにし、赤外線分析法における特性やばらつきを考慮した個体乳MUNの利用方法を検討する。 |
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| [成果の内容・特徴] |
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| 1. |
全道におけるMUNの平均値±標準偏差は、11.4±3.9mg/dlで、平均値±1SDの範囲は7.5〜15.2mg/dlであり、当面これらを北海道MUN値とする(表)。調査農家において放牧時MUNの変動は、放牧飼養体系と極めて強く関連している(図1)。放牧飼養体系の有無は、飼料給与方式の差より大きい(2mg/dl程度に対し3〜4mg/dl)。 |
| 2. |
個体乳MUNは、牛群検定情報の日常検査法として使用されている現状の赤外線分析法分析値の特性として以下のことが明らかにされた(図2)。
(1)バラツキ程度としての指標である「差」(酵素法分析値−赤外線分析法分析値)の標準偏差が2.3mg/dlとバルク乳に比較して大きい。(2)個体乳MUN分析値が5mg/dl未満で赤外線分析法と酵素法によるMUN分析値間に有意な相関が認められない。(3)「差」の分散成分のうち個体要因の割合は60%で、日常検査法におけるバラツキは個体毎に存在する偏りに原因することは明らかで、個体乳MUN分析値の偏りが存在することが指摘できる。
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| 3. |
「差」の変動要因の半分程度は個体毎の偏りが原因となっていることから、複数個体のMUN値を平均することで、個体毎の偏りを相殺して精度良く平均値を推定可能である。±1mg/dlの信頼幅で平均値を推定する場合、80%の確かさを得るためには9個体、90%では15個体、95%では21個体のデータが必要である(図3)。 |
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| [成果の活用面・留意点] |
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| 1. |
現状の赤外線分析法による乳検情報の個体乳MUNは10頭程度の平均値を求めて、牛グループ単位の栄養管理に利用できる。しかし、個々の個体のMUN推定値として個体別の栄養管理への利用はできない。 |
| 2. |
個体情報からのグループ平均値を推定する場合、乳牛のグループ分けに際して平均値の精度を確保するために次の点に留意する。同一あるいは類似の飼料を給与されている乳牛を1つのグループとする、赤外線分析法による分析値が5mg/dl未満の個体は集計から除外する、個体の重複を避ける必要がある。 |
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