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主な有機質肥料は窒素無機化速度が速いグループ:魚かす主体混合有機質肥料、ナタネ油かす主体混合有機質肥料と遅いグループ:発酵鶏ふん、米ぬか油かすに区分される(図1)。
露地野菜において窒素を増量せずに有機質肥料重点で窒素施肥を行う場合には、無機化率の高い有機質肥料が低い肥料に比べて適している。 |
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収量水準からみると、にんじんおよびマルチ栽培のだいこんでは施用窒素の100%を有機質肥料で代替できるが、キャベツ、はくさい、ブロッコリーでは50%となる(表1)。
一方、スイートコーンでは、有機100%区で1穂重が低下し、規格内収量としては減少するが、規格内本数としては減少しないため、施肥窒素を100%有機質肥料で代替可能と考えられる。ただし、1穂重を重視する場合は50%代替にとどめる。 |
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有機100%区で収量低下の大きかったキャベツ、はくさいでも白黒マルチを使用することにより規格内収量は化学肥料区とほぼ同程度となる(図2)。これは、マルチにより土壌水分が保持されたため有機質肥料や土壌窒素の無機化が促進され、さらに窒素の溶脱も抑制されるためと考えられる。 |
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以上の結果より、窒素を増量しない条件で、有機質肥料重点で栽培を行うには、無機化の速い魚かすなどの有機質肥料が適しており、収量水準よりにんじんおよびマルチ栽培のだいこんでは施用窒素の100%が、キャベツ、はくさい、ブロッコリーでは50%が有機質肥料で代替できる。また、キャベツ、はくさいでもマルチを利用することにより代替率100%が可能となる。これらをとりまとめて、有機質肥料重点の窒素施肥指針を示す(表2)。 |