| 1. |
重窒素標識肥料を草地に施用し重窒素標識飼料を得る。チモシー単播草地150m2に8.36atom%の重窒素標識硫酸アンモニウム10g/m2を早春施用し、市販の化学肥料を併用標準栽培を行うと、重窒素含有率5.46atom%の1番草と同1.45atom%の2番草が得られるので、これらをサイレージまたは乾草に調製する。また、馴致期間中に給与する重窒素無標識飼料についても、並行して標準的な栽培と調製を実施する(表1)。 |
| 2. |
重窒素標識飼料を乳牛に給与する。併給飼料を給与するとふん尿の重窒素濃度が低下するので、成雌牛の牛体維持に要する養分量以上を粗飼料で給与する。重窒素無標識サイレージによる馴致期間(1期:8日間)の後、重窒素標識飼料(2期:サイレージ14日間、3期:乾草6日間)を給与する。その後、体内に残存した重窒素を回収するため、重窒素無標識サイレージを9日間給与する(4期)。 |
| 3. |
乳牛から重窒素標識ふん尿を採取する。2〜4期の29日間にふん394kgと尿141kgを分別採取する。飼料の乾物摂取量が1日当たり乾物5.8〜6.8kgのとき、日排ふん量は13〜15kg、日排尿量はサイレージ給与期間に5〜6kg、乾草給与期間に2〜3kgで推移する(図1)。ふん尿中の重窒素含有率は、重窒素標識飼料の給与開始とともに上昇し、ふんで3.80 atom%、尿で2.62atom%まで高まる(図2)。 |
| 4. |
重窒素標識堆肥を調製する。 5cm前後に細切した水分調整用の重窒素無標識乾草2.4kgと2〜4期に採取した重窒素標識ふん121.0kgを数回に分けて混合しながら容器に充填し、屋根付きの網室内において70日間堆肥化を行う。堆肥化に伴い現物中の肥料成分含有率はやや上昇するが、重窒素含有率の変化は少ない。ただし、総重量および水分は26〜27%減少し、窒素現存量はアンモニア揮散や脱窒等により18.6%減少する(表2)。 |