泥炭草地等に侵入・優占するリードカナリーグラスの採草利用法

[要約]

農家生産リードカナリーグラスサイレージの自由採食量はチモシーに比べて20〜30%少ない。飼料品質の改善と採食性の向上を図るための収穫適期は1番草については穂孕み期と草丈80cmを、2番草については生育日数40日を目安とする。

[キーワード]

リードカナリーグラス、飼料成分、粗飼料、サイレージ

[担当] 上川農試・天北支場・技術普及部
[連絡先] 電話 01634-2-2111,電子メール seika@agri.pref.hokkaido.jp
[区分] 北海道農業・畜産草地
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
リードカナリーグラス(RCG)は粗剛で嗜好性に難があり、栄養価が低下しやすい草種であるが、泥炭草地では適応性が高く、完全駆除が難しいため、泥炭草地を持つ酪農家では利用せざるを得ない状況がある。そこで、農家のRCGの利用実態および農家生産サイレージの牛の採食量を明らかにするとともに、飼料成分の変化からみた収穫適期を示す。
[成果の内容・特徴]
  1. 宗谷管内豊富町内7筆のRCG優占ほ場の1番草刈取日の平均は6月20日、刈り取り時のステージは概ね出穂始〜出穂期であり、2番草刈取日は年次による変動はあるが8月24日前後で生育期間は概ね60日程度となっている。
  2. 農家生産RCGサイレージ(1番草および2番草)の自由採食量は、チモシー(TY)1番草ロールベールサイレージ(出穂期)よりも20〜30%程度少ないと考えられる (表1)。
  3. RCGの生育ステージ別飼料成分の変化から、1番草の刈り取り適期は穂孕み期が望ましいと考えられるが、穂孕み期であっても飼料成分はほ場、年次で異なる(表3)。
  4. RCG1番草の飼料成分と草丈の関係は密接で、同じ生育ステージであっても、草丈の伸長とともに栄養価が低下する(図1)。このことから、1番草については、穂孕み期を目安としつつも草丈80cm程度で収穫することとする。この場合、1番草でNDF含量65%、ADF含量34%、IVDMD70%程度となる。2番草については草丈と飼料成分の関係は明確ではないことから(図2)、刈り取り適期を生育日数と飼料成分の変化から判断し、生育日数40日程度とする。この場合、NDF含量60〜67%、ADF含量30〜35%、IVDMD60〜70%程度となる(図2)。
  5. RCGに含まれる代表的なアルカロイドであるグラミン含量は、調査したほ場および刈取時期の平均(28点)で200ppm(16-1200ppm)となっており、採食性に悪影響があるとされる2000ppm以下である。
[成果の活用面・留意点]
  1. RCGについて、本成績で示したスケジュールで1・2番草の収穫を行うと3番草の再生量が大きく、翌年の収穫時にその枯葉が混入して飼料価値が低下するので、3番草の利用が必須となる。
  2. 道北地域での実態を調査したものであり、当該地域に利用できる。
[具体的データ]

 

 

 

 

 

[その他]
研究課題名 低整備水準農地におけるリードカナリーグラスの有効活用
予算区分 受託
研究期間 2003〜2006年度
研究担当者 井内浩幸、飯田憲司
発表論文等