| 液状飼料給与装置を用いた離乳子豚の飼養技術 |
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| [要約] |
欧州にて市販されている液状飼料給与装置を用いて、14および21日齢で離乳した子豚に人工乳を液状化して給与することで、離乳後の発育停滞を改善することが可能である。また、生後4日齢程度で離乳した子豚を21日齢で一般的に推奨される6kgに発育させることが可能である。 |
| [キーワード] |
豚、液状飼料給与装置、液状飼料、頻回給与、離乳後発育停滞、人工哺育 |
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| [背景・ねらい] |
離乳直後の子豚では一時的な発育停滞がよく観察され、生産性を低下させる一因となっている。また人工哺育は、授乳母豚に事故が発生し、かつ里親が確保できない場合に実施されるが、代用乳を用いるためコストが高いという問題がある。そこで、粉状飼料を液状化して頻回給与することができる液状飼料給与装置を用いて、離乳後の発育停滞改善技術および安価な人工乳(TDN
90.0:CP 23.0)による人工哺育技術を検討する。 |
| [成果の内容・特徴] |
- 14日齢で離乳した子豚では、液状飼料の希釈濃度を6倍量程度とするより4倍量程度として給与液量を低減する方が、液状飼料給与開始時からの残食が少なく採食行動が活発となる。また液状飼料の摂取量が14日齢から19日齢まで直線的に増加した場合(最大摂取量1.0kg/頭/日)、14〜21日齢での日増体量は313±102g/日となる。この結果をもとに作成した、希釈濃度を4倍量程度とした14日齢離乳子豚への給与プログラムは表1である。
- 14日齢で離乳して14日間液状飼料を給与した子豚は、21日齢で離乳して粉状飼料を給与した子豚に比べて14〜35日齢の日増体量が有意に高く、また離乳後の発育停滞も認められない(図1)。その結果として、21日齢で離乳した子豚よりも30kgに到達した日齢が約4日、肥育が終了(105kg到達)した日齢が約10日短くなる。
- 22日齢で離乳し液状飼料を給与した子豚は、同時期に離乳して粉状飼料を給与した子豚に比べて、離乳後1週間の日増体量が有意に高く(図2)、また離乳後の発育停滞も認められない。21日齢程度で離乳した子豚への液状飼料の給与方法は、14日齢離乳子豚への給与プログラムを変更することで対応が可能である(表1)。
- 3〜4日齢で離乳した子豚では液状飼料への馴致に問題はないが、2日齢で離乳した子豚では採食を開始するまでに時間がかかる傾向にある。また、4日齢程度(3〜5日齢)で離乳した子豚において、液状飼料の摂取量が4日齢から13日齢まで直線的に増加した場合(最大摂取量1.5kg/頭/日)、4〜21日齢での日増体量は246±49g/日となる。この結果をもとに作成した、希釈濃度を6倍量程度とした4日齢離乳子豚への給与プログラムは表2である。
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| [成果の活用面・留意点] |
- 本試験で用いた装置には1回に給与する液状飼料の最低量が設けられており、本試験結果で作成した給与プログラムを適用するには、4日齢では15頭以上、14日齢および21日齢では11頭以上を1群とするように留意する。また飼槽の頭口数は1群の頭数以上とする。
- 子豚の採食を促すには液状飼料の残食が無い状態が重要であり、そのために1日に3回は採食の状況を確認し、残食を確認した場合はすぐに廃棄すること。
- 本試験はSPF環境下で実施した。
- 給与飼料は豚の日齢に対応した飼料(餌付け飼料、人工乳)を用いる。
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| [具体的データ] |
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| [その他] |
| 研究課題名 |
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子豚用液状飼料給与装置を用いた早期離乳法の開発 |
| 予算区分 |
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民間共同 |
| 研究期間 |
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2005〜2006年度 |
| 研究担当者 |
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岩上弦太郎、内藤学、山内一律、小泉徹 |
| 発表論文等 |
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