繁殖雌豚のボディコンディション判定法

[要約]

繁殖雌豚について、かん骨、背骨を4段階で採点した触診スコア値の合計値は、豚の背脂肪厚と関係があり、繁殖雌豚の肥満度を判定する方法として利用できる。

[キーワード]

繁殖豚、ボディコンディションスコア

[担当] 道立畜試・家畜研究部・中小家畜育種科
[連絡先] 電話 0156-64-0611,電子メール seika@agri.pref.hokkaido.jp
[区分] 北海道農業・畜産草地
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
 豚の肥満の程度をかん骨部位の触診により判断するボディコンディションスコア(以下BCS)法は測定が簡易であり、繁殖雌豚の栄養管理に利用されている。しかし、BCSは豚の体脂肪量との相関が高いP2といわれる部位の背脂肪厚との相関が低いことや、現場段階では、安定した判定を行なうまでに時間を要するなどの問題が指摘されている。
 そこで、本試験では、繁殖雌豚の触診による判定とP2脂肪厚との関係を明らかにし、客観性の高い繁殖雌豚の肥満度判定法を開発する。
[成果の内容・特徴]
  1. 触診方法を表1のように定め、この方法で得られた触診スコアとP2脂肪厚の関係を検討した結果、かん骨、背骨、肋骨の4段階にスコア化した各値と豚のP2脂肪厚の間には0.6程度の相関があった。また、かん骨を手のひらおよび指で触診したスコアの合計値におけるP2脂肪厚の変動係数は概ね15%以下であり、従来のBCS法(P2脂肪厚の変動係数:15〜19%)より高い精度で豚の脂肪厚を判定できる。
  2. 初産豚と2産以上の経産豚ではかん骨触診とP2脂肪厚の関係が異なり、初産豚についてはかん骨を手のひらおよび指、腰部背骨、背部背骨の触診スコアの合計値からP2脂肪厚を推定する回帰式(R2=0.44,推定値の標準誤差=2.0)、経産豚についてはかん骨を手のひらおよび指、腰部背骨の触診スコアの合計値から繁殖雌豚のP2脂肪厚を推定する回帰式(R2=0.61,推定値の標準誤差=2.2)を用いることにより、もっとも高い精度で触診スコアからP2脂肪厚を推定し肥満程度を判定することができる(図1図2)。
  3. 以上の結果をもとに、触診スコアから繁殖雌豚の肥満程度を判定する方法を提示する(表4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本試験結果は、繁殖雌豚の栄養管理を行う際に豚の肥満度の判定に活用できる。
  2. 触診スコアの測定者によるばらつきを修正するために経験者による技術指導が必要である。
[具体的データ]

 

 

 

 

[その他]
研究課題名 ボディコンディションスコアによる繁殖豚の管理技術
予算区分 受託
研究期間 2005〜2006年度
研究担当者 小泉 徹、山内 和律
発表論文等