生乳の風味特性と機器による脂肪分解臭の迅速評価法 |
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[要約] |
生乳の脂肪分解臭の程度を、赤外線多成分分析装置で計測するFFA/F(遊離脂肪酸/脂肪)値を活用することで迅速に評価できる。また、生産現場に近い農協等で実施可能な官能検査手法と、検査員訓練のための見本試料の作成方法を示す。 |
[キーワード] |
乳用牛、畜産物、生乳、風味、脂肪分解臭、官能評価 |
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[背景・ねらい] |
生乳の品質については、その成分含有量や衛生的水準だけでなく、風味についても重要であると考えられる。そこで、道内で生産されている生乳の風味特性の実態を調べるとともに、風味変化の要因のひとつと考えられる脂肪分解臭を短時間で評価する手法について検討する。また、生乳で生じ得る特徴的な風味変化を官能的に評価する手法を整理し、生産現場に近い農協等において、生乳の風味の特徴を評価する方法を示す。 |
[成果の内容・特徴] |
- 生乳中のにおい関連物質含量には、地域や季節にともなう一定の変動が認められず、おおむね類似した数値である。ヘプタノン含量は0.23〜0.32ppm、ノナノン含量は0.12〜0.16ppmの範囲であったのに対して、アセトン含量は0.49〜1.22ppm、各脂肪酸を合計した含量は0.62〜3.21ppmで、アセトンと脂肪酸の変動幅が他の成分に比較してやや大きい傾向にある。
- 特徴的な風味を有すると判断された生乳の中には、@検出される脂肪酸の量が多い、A検出されるアセトンの量が多い、B他の生乳ではほとんどみられないヘキサナールが検出される、などの事例があり、これらが風味と関連しているものとみられる(表1)。
- 赤外線多成分分析装置で計測されるFFA/F値は、水蒸気蒸留で生乳から抽出される脂肪酸量と強い正の相関関係(r=0.989)にあり、官能的な脂肪分解臭の強度の順位評価とも対応することから(図1)、脂肪分解の程度の評価に利用できる。
- 生乳でみられる主な風味の変動を模擬的に再現した見本試料の作成方法(表2)、その見本試料で事前に訓練した判定員による官能検査実施手法を文献検索や乳業メーカーからの聞き取り調査によって整理し、図2に提示する。
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[成果の活用面・留意点] |
- 本情報で提示した脂肪分解臭の評価法および官能検査の実施手順は、風味の変化が指摘された農場バルク乳の風味の特徴を判定し、当該農場で実施すべき改善対策を選択するために農協等において実施する。
- 本手順は風味の適否を判断するためのものではない。
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名 |
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生乳の香気特性解明と機器による簡易測定法の開発 |
予算区分 |
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民間受託 |
研究期間 |
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2004〜2006年度 |
研究担当者 |
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本郷泰久、昆野大次、西村和行、高橋雅信 |
発表論文等 |
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