| 乳用牛舎設計の留意点と牛床評価方法 |
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| [要約] |
牛群の体格に合わせた牛床寸法や飼槽構造、衝撃力が2500N以下の牛床資材の選定、十分な開口幅を取ったセミモニタ1)構造などに留意することにより快適な乳用牛舎となる。牛床横臥姿勢、牛体の汚れ、飛節スコア2)、牛床衝撃力などにより牛床の評価ができる。 |
| [キーワード] |
乳用牛舎、牛床寸法、飼槽構造、牛床衝撃力、横臥姿勢、牛体汚れ、乳牛行動 |
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| [背景・ねらい] |
牛舎・牛床構造が乳牛の行動・姿勢・外観に及ぼす影響について実態を調査するとともに、牛舎・牛床寸法について最新情報を整理して乳牛にとって快適な牛舎設計・改善の留意点を明らかにする。さらに、乳牛の外観および行動等を指標にした牛床評価方法を提示する。 |
| [成果の内容・特徴] |
- 牛床の長さやネックレール3)の高さは牛舎間で差が見られる。最新の推奨値(NRAES-200)に当てはめると牛床の長さは頭合わせ牛床で長いが、壁側牛床では短い事例が多い。そのため、牛床設計においては乳牛の体格に合わせた推奨値を用いる。
- 牛床前方柵(隔柵取り付けのために水平に設置された鋼材)を有する頭合わせの牛床の長さが245cm未満の牛床では、乳房汚染の原因となる斜め横臥や腿への糞の付着割合が高い。
- ネックレールの高さが117cm未満の牛床やブリスケットボード4)が設置されず頭部突き出し部分の床面を高くしている場合では、飛節スコアが2以上(飛節に出血や腫れがある状態)の牛の割合が高い牛舎が多い(図1)。
- 調査牛舎の牛床横臥率5)は平均76.7%(範囲66.5〜83.9%)であり、牛床の床資材の衝撃力と牛床横臥率は負の相関関係が認められる。牛床横臥率が高い牛床の床資材の衝撃力は2,500N以下(敷料込みで2,000N以下)である(図2)。
- 飼槽のネックレールの高さを牛側通路床面から120cmから130cm(飼槽のネックレールの牛側飼槽壁面からの突き出し幅は有効長で20cm、飼槽壁の高さは55cm)にすると採食可能範囲が8.9cm増加するので、体高が140cm以上の乳牛においては飼槽のネックレールの高さは130cmが適している。
- セミモニタでは、同じ開口幅のオープンリッジ6)と換気量は同量であるが、障害物で換気が阻害されやすいので、セミモニタの換気を促進するために開口幅は少なくともオープンリッジ幅の2倍程度まで開放できるようにする。
- つなぎ牛舎において、タイレール(ません棒)7)の高さが80cm未満の牛床では乳房に糞が付着している牛の割合は高くなる傾向が見られ、牛床の長さが短い牛舎では飛節スコア2以上の牛の割合が高くなる傾向がある。
- これらの点に留意することにより乳牛にとって快適な乳牛舎の設計ができ(表1)、乳牛の横臥姿勢や糞の付着などにより牛床構造の評価ができる(表2)。
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| [成果の活用面・留意点] |
- 牛舎の新築および既存の牛舎の改善に活用する。
- 牛群の体重の把握には乳検情報等を参考にする。
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| [具体的データ] |
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| [その他] |
| 研究課題名 |
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乳用牛舎設計の留意点と牛床評価方法 |
| 予算区分 |
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道費(農政部事業) |
| 研究期間 |
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2004〜2006年度 |
| 研究担当者 |
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堂腰 顕、高橋圭二、吉澤 晃 |
| 発表論文等 |
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