安定多収で、麺、茶に加工適性のあるだったんそば新品種「北海T8号」

[要約]

子実用だったんそば品種「北海T8号」は、「道南産」と比較し耐倒伏性にやや優り、道内各地域で安定多収である。実需による官能評価で麺、茶への加工適性がある品種である。そばの主産地北海道で新たに優良品種として普及される。

[キーワード]

だったんそば、ルチン、耐倒伏性、加工適性

[担当] 北海道農研・寒地地域特産研究チーム、機能性利用研究北海道サブチーム
[連絡先] 電話 011-857-9260,電子メール seikajouhou@ml.affrc.go.jp
[区分] 北海道農業・畑作、作物
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
北海道は普通そばの主産地であるが、だったんそばは健康食品ブームの中で消費者に根強い人気があり、道内各地で特産化の動きがある。これまで需要の多くを占めていた中国産は輸入元の事情から価格が上昇し、輸入状況が不安定になっており、だったんそば加工業者からは国産だったんそば子実の安定供給が求められている。
[成果の内容・特徴]
  1. 「北海T8号」はロシア(旧ソ連)より導入した遺伝資源「Rotundatum」より選抜されただったんそば品種である。開花期及び成熟期は在来種の「道南産(標準)」と同程度の夏型であり、草型は直立短枝型である(表1)。
  2. 「北海T8号」は、「道南産」と比較し、耐倒伏性にやや優り、収量性は同程度〜やや良く、千粒重は並〜やや重く、各地で安定多収である。ルチン含量は普通そば「キタワセソバ」に比し数十倍含むが「道南産」とは同程度である(表1)。
  3. 「北海T8号」は、麺による食味試験では苦みが強くだったんそば麺の特徴がよく表れている(表2)。そば茶の官能試験では「道南産」との間に有意な差はない(表3)。「北海T8号」は麺及びそば茶に対する加工適性がある。
[成果の活用面・留意点]
  1. 北海道一円に適する。一部在来種に置き換え、300haの普及面積を見込む。
  2. 普通そばとは交雑しないが、後作を普通そばとした場合、野良生えにより種子が混入するので、後作物の選定に留意する。
  3. 播種期、播種量、施肥量及び収穫適期等の栽培条件については、「だったんそば「北海T8号」の安定栽培法」(平成18年度北海道指導参考事項)を参考にする。
[具体的データ]

 

[その他]
研究課題名 寒地における地域特産作物の優良品種の育成及び利用技術の開発
課題ID 311-f
予算区分 基盤
研究期間 1991〜2006年度
研究担当者 本田裕、六笠裕治、鈴木達郎、横田聡、我妻正迪、中司啓二、木村正義、川勝正夫
発表論文等