自殖性ソバの温湯除雄法

[要約]

自殖性ソバの温湯除雄法を開発した。処理温度は42℃、処理時間は5分間で、交配の前日に最頂花房の蕾を温湯に浸漬し、翌朝に開花した花に人工授粉を行う。

[キーワード]

自殖性ソバ、温湯除雄法

[担当] 北海道農研・寒地地域特産研究チーム、機能性利用研究北海道サブチーム
[連絡先] 電話 011-857-9260,電子メール mailto:seikajouhou@ml.affrc.go.jp
[区分] 北海道農業・畑作、作物
[分類] 研究・参考

[背景・ねらい]
近年、近縁野生種Fagopyrum homotropicum由来の自殖因子を持つ自殖性ソバの育成が、日本やカナダを中心に進められている。自殖性ソバを母本とする交配では、開花前の蕾からピンセットで葯を取り除く除雄操作を行うが、蕾が小さいため、細かな作業と多大な労力・時間を要する。一方、従来の他殖性ソバは自家不和合性であり、交配に際して除雄操作が不要であるため、これまでソバの除雄法に関する研究は全く行われていない。自殖性ソバの育種を効率的に推進するためには、簡易な除雄法の開発が不可欠である。
[成果の内容・特徴]
  1. 温湯処理は、翌日に開花する蕾を含む最頂花房を、恒温水槽に浸漬して行う。交配は、処理翌朝に開花した花を用いる。
  2. 39℃・10分間、40℃・7.5分間、41℃・5分間、42〜44℃・2.5分間以上の温湯処理により、自殖での結実率がほぼ0%となる(図1)。
  3. 41〜43℃・5分間の温湯処理では、人工授粉により、自殖とほぼ同等の高い結実率が得られる(表1)。
  4. 以上の温湯処理・人工授粉により、ほぼ確実に雑種が得られる(表2)。
  5. 42℃・5分間の温湯処理は、多くの系統に対しても適用性があり(表3)、自殖性ソバの除雄法として実用性が高い
[成果の活用面・留意点]
  1. 自殖性ソバの系統間交配に利用できる。
  2. 人工授粉は、媒介昆虫の侵入しない温室等で行う。
[具体的データ]

 

 

 

 

[その他]
研究課題名 寒地における地域特産作物の優良品種の育成及び利用技術の開発
課題ID 311-f
予算区分 加工プロ
研究期間 2006年度
研究担当者 六笠裕治、鈴木達郎、本田裕
発表論文等 六笠裕治ら(2006)自殖性ソバの温湯除雄法、育種学研究8(4), 177-181.