てんさい原料の農家貯蔵における根中糖分、根重の損失実態と要因 |
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[要約] |
農家貯蔵では圃場堆積の中央部、天井面、底面における根重の減少がほとんど認められず、糖量の減少は根中糖分の低下によるものである。根中糖分の低下と貯蔵期間の積算温度との間には高い負の相関が認められ、積算温度に大きく影響される呼吸による糖の消耗が主な要因と考えられる。側面における根重の減少は根の凍結による影響が主な要因と考えられる。 |
[キーワード] |
てんさい、農家貯蔵、根中糖分、根重、積算温度、凍結 |
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[背景・ねらい] |
てんさい糖業の集荷製造経費の削減対策の一環として、収穫後から12月までの期間、圃場に堆積する農家貯蔵が増加し、全生産量の約20%に達している。農家貯蔵における根中糖分の低下、根重の減少などが危惧されるなか、これまで農家貯蔵における損失実態とその要因について詳しく調査された例がない。そこで、気象条件の異なる全道4地方における農家貯蔵を対象に、根中糖分、根重の損失実態について明らかにする。 |
[成果の内容・特徴] |
- 農家貯蔵における圃場堆積の中央部、天井面、底面では、根重の減少はほとんどないが、根中糖分は貯蔵前に比べ同等から7ポイントの低下と差異がみられ、糖量の減少に影響を及ぼす(表1)。根中糖分の低下程度と貯蔵中の糸状菌や萌芽の発生根率との関係は認められない。
- 圃場堆積の中央部、天井面、底面における根中糖分の低下程度と、貯蔵中の積算温度とは高い負の相関が認められ、積算温度が300℃の場合、根中糖分が貯蔵前に比べ3ポイント低下する(図1)。このことから、温度が高いほど増大するとされる呼吸による糖の消耗が糖分低下の主な要因と考えられ、低温日における収穫作業の実施など、貯蔵開始時の品温を下げる対策が重要である。
- 農家貯蔵における圃場堆積の側面では、根の凍結により根重の減少程度が大きくなる傾向があることから、シートの被覆を二重にするなどの凍結防止対策が重要である(表2)。
- 打撲傷をつけた根の農家貯蔵では、糖量が減少する傾向があることから、収穫作業における打撲傷の発生に留意する必要がある(表3)。
- 根のタッピング位置が浅くなるほど、根中糖分が低下する傾向があることから、収穫時のタッピング位置に留意する必要がある(表4)。
- 収量特性が根重型、糖分型、中間型の3タイプの品種を用いた農家貯蔵では、根重、根中糖分、糖量の損失程度に品種間差は認められない(表5)。
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[成果の活用面・留意点] |
- 農家貯蔵における根中糖分、根重の損失実態とその要因を明らかにしたものであり、農家貯蔵を指導する際の参考として活用する。
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[具体的データ] |
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[その他] |
研究課題名 |
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てんさいの貯蔵に伴う糖分・収量への影響 |
予算区分 |
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民間受託 |
研究期間 |
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2004〜2005年度 |
研究担当者 |
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有田敬俊 |
発表論文等 |
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