りんどう種間雑種育成のための胚珠培養法 |
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[要約] |
りんどうの切花を用いて種間交雑を行い、7〜10日後に胚珠を摘出して改変MS培地で培養することで発芽個体を得ることができる。ゲルライトをゲル化剤に用いると発芽率が高まり、またジベレリン添加により発芽が促進される。 |
[キーワード] |
りんどう、胚珠培養、種間交雑 |
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[背景・ねらい] |
りんどう種間雑種の獲得が可能となる効率的な胚珠培養法を確立する。さらには、胚珠培養によって得られた個体の雑種性を確認するため、圃場に定植して開花させ、特性を調査する。 |
[成果の内容・特徴] |
- りんどうの切花を用いて交配し、数日後に肥大子房より胚珠を摘出し、NH4NO3量を1/2とするMS培地(30または45g/l
ショ糖、0.01mg/l NAA)で培養することで、発芽個体を得ることができる。
- 胚珠培養の開始に最適な時期は、エゾリンドウ個体間交雑での発芽数の調査結果から、交配2〜5日後よりも7〜10日後が適当であり(表1)、10日を超えると発芽数は減少する(データ省略)。また、交配1日後には胚はすでに胚珠培養での発芽能力を有する(表1)。
- 胚珠培養培地のゲル化剤には、8g/l寒天より2.5g/lゲルライトを用いた方が1子房当たりの発芽数は多くなる(データ省略)。また、培地への2mg/lジベレリン添加は、無添加に比べて発芽が早まり、発芽数も1.5〜2倍となる発芽促進効果がある(データ省略)。
- エゾリンドウとりんどう野生種(G. paradoxa、G. septemfida、G. dahurica、G.
tibeticaおよびG. andrewsiiの5種)の交配後、胚珠培養することで、発芽個体が得られる(表2、図1b)。また、野生種間の3組合せ(G.
septemfida×G. tibetica、G. tibetica×G. septemfida、G. tibetica×G.
dahuricai)でも発芽個体が得られる(図1c、d)。
- 得られた発芽個体の雑種性は、圃場に定植、養成し、開花個体の特性を調査することで確認できる。開花個体の多くは、花形、花長、がく片長、葉長、葉幅などの形態的特徴や花色において両親の中間的であり、雑種個体と判断できる。また、組合せにより得られる個体の大半が不親和性によると思われる奇形花となる場合がある(表2、図1a)。
- エゾリンドウ×G. paradoxa種間雑種個体へエゾリンドウあるいはG.
paradoxaを戻し交配し、胚珠培養を行うことで、極めて低率だが雑種後代個体を得ることができる(データ省略)。
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[成果の活用面・留意点] |
- りんどう種間雑種の獲得に利用できる。
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[具体的データ] |


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[その他] |
研究課題名 |
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りんどう育種のための組織培養法および苗養成法の開発 |
予算区分 |
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共同研究 |
研究期間 |
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2001〜2006年度 |
研究担当者 |
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玉掛秀人 |
発表論文等 |
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