SSRマーカーを利用した小豆・菜豆の品種判別

[要約]

小豆のSSRマーカー5種で「きたのおとめ」、「しゅまり」と国内品種および海外遺伝資源、菜豆のSSRマーカー5種で「福勝」、「福良金時」と他の金時品種、また「絹てぼう」と他の手亡品種の判別が可能である。

[キーワード]

小豆、菜豆、品種判別、SSRマーカー

[担当] 中央農試・基盤研究部・遺伝子工学科、遺伝資源部・資源利用科、資源貯蔵科、農業生物資源研究所・基盤研究領域・ジーンバンク
[連絡先] 電話 0123-89-2584,電子メール seika@agri.pref.hokkaido.jp
[区分] 北海道農業・生物工学
[分類] 技術および行政・普及

[背景・ねらい]
 近年、低価格な農産物の輸入増加に伴い、評価の高い国内育成品種が海外に流出し、海外産として輸入される事例が認められる。農産物の適正な表示を担保し、登録品種の育成者権を保護するためには、迅速で精度の高い品種判別法を確立する必要がある。
 北海道立中央農試では、RAPD-STSマーカー3種による菜豆の手亡品種および小豆の品種判別法を開発した(2002)が、多種多様な遺伝子型をもつ輸入小豆を対象にした場合には3種のRAPD-STSマーカーのみでは識別性が十分でないため、多型性の高いマーカーによって信頼性を向上させる必要がある。一方、SSRマーカーはRAPD-STSマーカーに比較して多型性が高いとされる。農業生物資源研究所において小豆SSRマーカーの開発が進められ、菜豆のSSRマーカーはカナダで報告がある。多型性の高いSSRマーカーを利用して、小豆及び菜豆の品種判別法を検討する。
[成果の内容・特徴]
  1. 小豆のSSRマーカー5種により、登録品種「きたのおとめ」、「しゅまり」と他の小豆品種との判別が可能である。RAPD-STSマーカーで区別できない品種間の判別も可能である(表1)。
  2. SSRマーカーによる判別では、海外(中国、韓国、台湾)の小豆遺伝資源239点に「きたのおとめ」、「しゅまり」と同じ遺伝子型を示す遺伝資源は認められない。
  3. 中国からの輸入小豆は雑多な遺伝子型の混合集団である(表1)。
  4. 菜豆のSSRマーカー5種により登録品種「福勝」、「福良金時」と他の金時品種、「絹てぼう」と他の手亡品種の判別が可能である(表2)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果は輸入豆類等の品種判別に利用できるが、輸入小豆は品種が混合されているため、含まれる品種の判別には複数の粒を個別に調査する必要がある。
  2. 精度の高いPCR増幅DNA断片長の解析にはシークエンサー導入が望ましい。
  3. 本成果の一部をマニュアル化して、農林水産省生産局種苗課のホームページに公開している(http://www.hinsyu.maff.go.jp/)。
[具体的データ]
 

 

 
[その他]
研究課題名 DNA多型による金時類および納豆の品種判別技術
    DNAマーカーを利用した豆類製品における品種識別
    豆類製品における品種判別の検証
予算区分 道費、国費受託
研究期間 2003〜2005年度
研究担当者 紙谷元一、竹内 徹、田澤暁子、冨田謙一、加賀秋人
発表論文等