鉄付着防止暗渠土管による低コストな閉塞軽減効果 |
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[要約] |
カルシウム材を添加した鉄付着防止暗渠土管は、鉄酸化細菌の繁殖防止効果と、土管外での鉄析出による鉄流入抑制効果により、酸化鉄付着による暗渠管閉塞を低コストで軽減できる。本土管は、泥炭土など暗渠管閉塞リスクの高い土壌に適用できる。 |
[キーワード] |
暗渠管閉塞、鉄付着、鉄付着防止暗渠土管、低コス |
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[背景・ねらい] |
暗渠の排水機能低下要因の一つである暗渠管への酸化鉄の付着による管閉塞に対して、カルシウム材を添加した鉄付着防止暗渠土管(「鉄菌番」北海道農材工業株式会社製)による閉塞軽減効果を明らかにする。 |
[成果の内容・特徴] |
- 調査圃場の13.5%で暗渠管への沈積物があり、その76.5
%が泥炭土や低地土の圃場である。暗渠管の沈積物は酸化鉄と土粒子があり、泥炭土や低地土では酸化鉄が多い。
- 土管素材へのカルシウム材の添加により、鉄酸化細菌の発生を抑制する。また、添加割合が高まるに従い、pHと全カルシウム含有率が高まるが、10
%以上の添加では暴露試験で破損・崩壊がみられる。しかし、カルシウム 材5
%添加では、破砕強度が従来素材より勝り、暴露試験でも崩壊がない(表1)。
- 暗渠管埋設試験では、2年後の従来土管と合成樹脂管に鉄付着が認められ、一方、鉄付着防止土管への鉄付着物が極めて少ない(写真1)。
- 鉄付着防止暗渠土管を用いた暗渠からの排水は、従来土管と合成樹脂管の排水に比べpHが0.5〜1程度高く、全鉄濃度は低く推移しており(図1)、鉄付着防止暗渠土管には鉄酸化細菌の繁殖防止に加えて、土管外での鉄析出による管内への鉄流入抑制効果があると推察される(図2)。
- カルシウム材の添加した鉄付着防止暗渠土管は、従来土管に比べて資材単価は約30%高まるが、施工費全体のコスト上昇が5
%程度と試算される。
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[成果の活用面・留意点] |
- 本鉄付着防止暗渠土管は、泥炭土や低地土などの低湿地の酸化鉄付着による管閉塞が予想される農地に対して利用すると、暗渠管の閉塞軽減効果が高い。
- 噴火泥流地帯のように酸性度の高い土壌への適応性は未検討である。
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[具体的データ] |



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[その他] |
研究課題名 |
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新機能付加型暗渠排水用土管の実用化 |
予算区分 |
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受託(民間) |
研究期間 |
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2004〜2006年度 |
研究担当者 |
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北川巌、中本洋、竹内晴信(現十勝農試) |
発表論文等 |
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