有機栽培バレイショの安定生産技術 |
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[要約] |
バレイショの有機栽培では、疫病抵抗性品種を用い、窒素無機化の速い有機質肥料を施肥標準量で施用することが収量、品質の安定化に最も適している。 |
[キーワード] |
バレイショ、有機栽培、疫病、抵抗性品種、有機質肥料 |
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[背景・ねらい] |
生産現場におけるバレイショ有機栽培の実態を把握し、栽培技術上の問題点を抽出する。その結果に基づき、バレイショの養分吸収特性に応じた施肥法、有機栽培に適した品種の選定、病害軽減対策の検討を行い、有機栽培でバレイショを安定的に生産する栽培技術を構築する。 |
[成果の内容・特徴] |
- 場内圃場における病害調査と生育調査から、疫病に弱い「男爵薯」の有機栽培区における茎葉重の急激な減少と塊茎重の増加抑制は疫病の伸展に起因していると考えられる(図1)。現地の有機栽培では多くの場合、収量、でん粉価とも低い傾向であり、その原因として疫病が最も大きいと考えられるが、現場では疫病についての対策はほとんど取られていない。
- 市販有機質肥料の比較では、粒状菜種粕の方が粒状魚粕よりやや収量が高い傾向である(表1)。これは、前者の無機化速度が後者より若干速く、疫病被害が大きくなる前に、より多く吸収利用できるためと思われる。しかし、熟期が遅い品種で疫病の被害がない場合、両資材の差はない。
- 有機栽培条件下では、施肥標準量より窒素成分で4kg/10a増肥しても増収効果はない(表2)。これは、増肥によって地上部は増大するが、疫病被害により養分の転流が十分に行われず、塊茎重の増加に結びつかないためと推察される。一方、窒素成分で3kg/10a減肥した場合、初期から生育が劣り、収量が10%程度低下する。従って、有機栽培においても施肥標準量の施用が適当と考えられる。
- 「男爵薯」や「ホッカイコガネ」のような疫病に弱い品種は、慣行栽培(化学肥料・化学農薬使用)に対して有機栽培は収量が平均約40%低下し、でん粉価も多くの場合低下する。一方、疫病抵抗性品種の「さやあかね」は約10%の収量低下にとどまり、でん粉価もほとんど低下しない(図2)。
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[成果の活用面・留意点] |
- 本成果は主に生食用バレイショの有機栽培に取り組む際の資料となる。
- 本成果は淡色黒ボク土で有機栽培に転換して3カ年の間に得られたものである。
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[具体的データ] |



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[その他] |
研究課題名 |
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ばれいしょの有機栽培における生産安定化 |
予算区分 |
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道費 |
研究期間 |
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2004〜2006年度 |
研究担当者 |
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田村 元、清水基滋、中津智史、竹内晴信 |
発表論文等 |
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