協業法人とコントラクターを活用した畑作酪農地域における農地遊休化防止対策 |
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[要約] |
十勝管内の畑作酪農地域では、協業法人による離農跡地の集積・保全とコントラクターによる農作業受託が農地の遊休化防止に有効に機能している。また、市町村農業公社を設立することにより農地の集積・保全に関する地域的な管理を可能にしている。 |
[キーワード] |
畑作酪農地域、協業法人、コントラクター、市町村農業公社 |
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[背景・ねらい] |
十勝管内の畑作酪農地域では、農家戸数の減少に伴って農地の遊休化が問題となっており、農地の集積・保全に向けた地域的な取り組みが求められている。十勝管内S町では、地域農業の活性化に向けて、96年3月に「S町農業・農村活性化ビジョン」を策定・公表し、これに基づいて協業法人((有)M社)、コントラクター((有)S社)および市町村農業公社((財)S町農業振興公社)の3者からなる同町独自の“農地集積・保全システム”を構築したことから、S町を対象としたケーススタディーに基づいて農地集積・保全システムの機能を明らかにする。 |
[成果の内容・特徴] |
- S町の農地集積・保全システムでは、畑については協業法人の設立によって離農跡地の集積・保全を図り、草地についてはコントラクターによる農作業受託によって酪農経営や畑作酪農複合経営が経営規模を拡大しやすい環境を整え、これによって離農跡地の集積・保全を間接的に支援している(図1)。また、市町村農業公社が関係機関との連携を図りながら協業法人やコントラクターに対する運営支援(機械・施設の導入費用の補助、事業計画の立案、農地情報の提供など)を行うことによって、農地の集積・保全に関する地域的な管理を可能にしている。
- 法人設立直前のM社の構成員5戸の経営耕地面積の合計は146.2haであったが、賃貸借を主体とした権利移動によって、設立後9年間で新たに62.7haの農地を集積している(表1)。2005年現在、同社は地域の総経営耕地面積(1,036.6ha)の20.2%(208.9ha)を集積・保全しており、地域農業の維持といった視点から同社の機能を評価することができる。また、同社はてん菜に関する作業受託を行っており、この点でも地域農業の維持に貢献している。
- S社の利用状況をみると(表2)、畑作経営における利用は融雪剤散布や堆肥散布が中心で、播種や収穫などの作業受託は一部にとどまっている。一方、酪農経営や畑作酪農複合経営では、家畜飼養との労働競合が起きやすい飼料生産をめぐって大規模層を中心に作業受託が展開しており、これによって経営規模を拡大しやすい環境を整えている。
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[成果の活用面・留意点] |
- 畑作経営や酪農経営などが混在している北海道の畑作酪農地域における農地集積・保全対策の1つとして活用できる。
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[具体的データ] |


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[その他] |
研究課題名 |
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畑作地帯における合理的な農地集積手法の確立 |
予算区分 |
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国費受託 |
研究期間 |
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2004〜2006年度 |
研究担当者 |
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西村直樹 |
発表論文等 |
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