工房製ナチュラルチーズの販売ターゲットと効果的な販売方法

[要約]

製法や原材料にこだわった工房製ナチュラルチーズの販売にあたっては、消費者の非日常的な状況での購買をターゲットに、土産物店や工房、物産展、デパート等での販売、また販売員、POP等による商品説明や試食といった店頭プロモーションが効果的である。

[キーワード]

乳製品、ナチュラルチーズ、チーズ工房、マーケティング、状況要因

[担当] 北海道農研・北海道農業経営研究チーム
[連絡先] 電話 011-857-9260,電子メール seikajouhou@ml.affrc.go.jp
[区分] 北海道農業・水田・園芸作、北海道農業・畜産草地、共通基盤・経営
[分類] 技術・参考

[背景・ねらい]
小規模チーズ工房は原料乳や製法で大手乳業メーカーとの製品差別化を図りつつも、売上の拡大や安定化が課題となっており、消費者の購買行動に即したチャネル選択と販売促進活動の強化が必要である。本研究では、購買時において消費者が置かれている状況(以下、「状況要因」)に着目しながら、ナチュラルチーズに対する消費者購買行動を明らかにするとともに、工房製ナチュラルチーズの効果的な販売方法を提示する。
[成果の内容・特徴]
  1. 消費者は主に表1に示すような状況でナチュラルチーズを購買する。
  2. チーズ工房の差別化要素となっている製法や原料乳・原材料といった製品属性は、日常的な状況に比べて「土産」や「催事」、「休日」、「贅沢」、「お客」といった非日常的な状況でより重要視される。またそういった状況では、製品情報源として「店員や店のお勧め」といった店舗内での情報が相対的に重要視される傾向にある(図1)。
  3. 非日常的な状況で購買する場合、消費者は土産物店や工房、物産展、デパートなどを利用する傾向にある(図2)。
  4. デパートは「品揃えの豊富さ」や「高級感がある」といった評価を得ている。また、工房や物産展、土産物店は「試食できる点」や「商品説明が詳しい」といった点で評価を得ている(図3)。
  5. 以上のことから、製法や原材料で差別化を図ろうとする小規模チーズ工房にとっては、非日常的な状況をターゲットとして、物産展、工房、土産物店、またデパートといったチャネルを利用することで、より製品の特徴を活かした販売が可能となる。さらに、そうしたチャネルでの販売と同時に、販売員やPOP等による詳細な商品説明、また店頭試食の実施など、店舗内における製品情報の伝達を積極的に図ることが効果的である。
[成果の活用面・留意点]
  1. 小規模チーズ工房における販売戦略立案の際の基礎情報として活用できる。
[具体的データ]

 

 

 

 

[その他]
研究課題名 北海道農業の動向解析に基づく技術開発方向の提示と経営類型に応じた経営継承・経営戦略・経営支援システムの策定
課題ID 211-a
予算区分 集約放牧
研究期間 2003〜2007年度
研究担当者 若林勝史
発表論文等 若林(2006)「ナチュラルチーズの消費者購買行動と状況要因」農業経営通信230号