水稲品種「ななつぼし」における胴切粒(くびれ米)発生要因 |
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[要約] |
水稲品種「ななつぼし」の胴切粒は、出穂期から10日間程度の低温(特に出穂3?4日後、平均気温19℃以下)が主な発生要因であり、子実縦伸長に対する籾殻の制限が原因と推察される。また、出穂前の日照不足は、胴切粒発生を助長する要因と判断する。調製に関しては、篩い目2.0mm以上の場合には胴切粒(甚)を概ね取り除ける。 |
[キーワード] |
水稲、ななつぼし、胴切粒、低温、日照、調製 |
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[背景・ねらい] |
近年、水稲品種「ななつぼし」において、胴切粒(くびれ米)が多発した(2001年)。過去の胴切粒発生年の気象経過から、発生年の特徴として出穂後の登熟初期(8月上中旬)の低温傾向および出穂前(7月中下旬)の寡照傾向も見られる。著しい胴切粒は精米時に砕米を生じることから、その多発は北海道産米のイメージ低下を招く重要な問題と考えられる。したがって、本試験では主に「ななつぼし」を対象とした胴切粒の発生要因を解析し、その対策に資することを目的とする。 |
[成果の内容・特徴] |
- 胴切粒は登熟初期における低温により顕著に誘発される。平均気温19℃以下である極低温区(20℃/14℃)と低温区(22℃/16℃)で多発する(表1)。
- 胴切粒(くびれ米)は2次分げつ>1次分げつ>主稈、2次枝梗>1次枝梗の順に多く、籾殻と子実伸張のアンバランス、具体的には、低温により誘発された子実縦伸長増加に対する籾殻長の制限が原因と推察する(表1、図1)。
- 低温遭遇は、出穂揃いから10日間(特に出穂3〜4日後頃)の低温が重要と考える(図2)。
- 出穂前の日照不足は、籾殻の生育を抑制し、胴切粒発生を助長する。窒素施肥量および出穂以降の日照不足に関しては、その影響が判然としない(表2)。
- 胴切粒の発生は、「ななつぼし」>「きらら397」>「ほしのゆめ」の順に多い。
- 調製について、圃場試験及びポット試験とも篩目が大きくなると胴切米の比率が低下し、篩目2.0mm以上の場合には胴切粒(甚)を概ね取り除ける(図3)。また、現行の外観品質判定機類で選別することは困難である。
- 胴切粒(甚)では、精白時の砕米発生率が高く、ほとんどの粒で胴切溝の糠が残る。また、胴切粒は炊飯により著しい縦伸張が観察され、甚だしい場合には炊飯米が「くの字」に曲がる。
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[成果の活用面・留意点] |
- 本試験結果は、胴切粒発生の予見およびその対応に資する。
- 「ななつぼし」を作付けする場合には、当年の出穂時期と気象経過からその発生を予見し、集荷・調製において注意する。
- 平成18年度北海道成績会議提出課題名:水稲品種「ななつぼし」における胴切粒(くびれ米)発生要因の解析(指導参考事項)
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[具体的データ] |




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[その他] |
研究課題名 |
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食味ランキング特A米生産のための技術開発と多様な米産地の形成支援 |
予算区分 |
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受託 |
研究期間 |
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2004〜2006年度 |
研究担当者 |
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後藤英次 |
発表論文等 |
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