水稲育苗ハウスを利用した秋出荷花壇苗の生産

[要約]

栽培適性、観賞適性ともに高い有望な主要7品目および新規宿根草1品目を選定した。これらは水稲用育苗ポットで稚苗育成が可能である。

[キーワード]

花壇苗、水稲育苗ハウス

[担当] 花・野菜技セ・研究部・花き科
[連絡先] 電話 0125-28-2800,電子メール seika@agri.pref.hokkaido.jp
[区分] 北海道農業・水田・園芸作
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
道央を中心とする水田地帯では稲作部門の所得低下に対し、園芸作物の導入による経営の複合化が推進されており、水稲育苗ハウス等を利用した野菜や切り花の作付けが行われている。しかし平成18年からの残留農薬ポジティブリスト制導入に伴い、水稲育苗ハウスで食用作物を生産することが困難になるという状況も生まれてきている。本試験では水稲との複合品目として秋出荷花壇苗の生産を提案するために、適品目の探索、および生産体系の確立、経営モデルの提示を行った。
[成果の内容・特徴]
  1. 栽培適性が高い品目はマリーゴールド、リナリア、金魚草、パンジー、ビオラである。観賞適性が高い品目はビオラ、なでしこ、パンジー、はぼたん、ダスティミラー、帝王貝細工である。栽培適性、観賞適性ともに高く、有望と思われたのは、ダスティミラー、ビオラ、なでしこ、パンジー、金魚草、帝王貝細工、はぼたんの7品目である(表1)。
  2. 供試品目は全て水稲育苗用ポットで稚苗育成が可能であり、導入にかかるコストを軽減できる(表2)。
  3. 実生系の宿根草品目で、当年開花性および越冬性の高い品目は、ダイアンサス ’スポーキー’、ケナリヒナム2品種、シンバラリアである。特にケナリヒナムは草姿がコンパクトで室内観賞性もあり、有望である(表3)。
  4. なでしこ、ビオラ、金魚草の3品目を当分に生産した場合、労働時間は1a当たり153時間程度と考えられ、7月上中旬に作業ピークがある。生産コストは1ポット当たり約13円になると試算され、直売所への出荷を想定したモデルケースでは1aで19万円程度の所得が見込めると考えられる(表4)。試験販売では売れ行きは概ね好調で、なでしこ等越冬性のある品目の人気が高かった。アンケート調査では秋花壇苗の条件として「冬越しするなら」をあげた人が最も多かったが、「冬越ししなくてもきれいなら」をあげた人も半数以上いた。
[成果の活用面・留意点]
  1. 水稲農家において新たな複合品目を選定する際の資料として活用する。
  2. 越冬性は滝川市での結果であることを考慮する。
  3. ハウス床面にはシートを敷き、農薬が残留しないよう注意する。
[具体的データ]

 

 

 

[その他]
研究課題名 秋出荷花壇苗の生産技術
予算区分 道単
研究期間 2004〜2006年度
研究担当者 鈴木亮子
発表論文等