貯雪冷熱を活用した花き栽培技術の実証

[要約]

貯雪冷熱を活用し、冷却水循環により夜間地中冷房する花き栽培システムは、比較的安価で自作利用でき、デルフィニウムとスターチスの収量性や切り花品質を高め、経済性を向上できる。

[キーワード]

貯雪、冷熱、地中冷房、デルフィニウム、スターチス

[担当] 花・野菜技セ・技術体系化チーム
[連絡先] 電話 0125-28-2800,電子メール seika@agri.pref.hokkaido.jp
[区分] 北海道農業・水田・園芸作
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
平成15年度研究成果情報「花き栽培における雪冷房システムの開発」の成果に基づき、雪冷熱を利用した花き栽培技術の現地実証及びシステムの改良、適応品目の拡大を図る。
[成果の内容・特徴]
  1. 平成15年度研究成果情報「花き栽培における雪冷房システムの開発」では、シートで漏水防止した穴に貯雪したが、穴の側面や底面から冷熱が漏出することが懸念されたため、断熱材を利用して貯雪槽の断熱性を高めた。また、システムの改良を行い、雪投入時の衝撃による貯雪槽及び水中ポンプと配管の破損を回避するとともに、開口部の断熱性向上と雨水の浸入防止が可能となった(表1)。このシステムは比較的安価に自作できる。
  2. 1晩当たりの雪冷熱利用量は、平成17年が約44,000kcalで雪に換算すると約1m3、平成18年が94,000kcalで雪に換算すると約2.3m3であり、315u規模のハウス2棟を本システムで地中冷房するには、貯雪槽に1回約10m3の雪を4日に1回程度投入する必要がある。
  3. 地中冷房により、地温はベット中央部分(深さ10cm)で2〜4℃低下する(表2)。
  4. 地中冷房により、デルフィニウム、スターチスで収量性や切り花品質が高まる(表3)。
  5. 地中冷房により切り残しが多い場合を除き、増収効果がデルフィニウム、スターチスとも見られ、経済性評価では、電気料、施設償却を考慮に入れても地中冷房が優位である(表4)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 貯雪施設のある地域で、スターチスとデルフィニウムに適用する。
  2. 地中冷房により採花時期が遅れるので、栽培管理に留意する。
[具体的データ]

 

 

 

 

[その他]
研究課題名 貯雪冷熱エネルギーを用いた花き栽培技術の実証
予算区分 道費(その他事業)
研究期間 2005〜2006年度
研究担当者 生方雅男、藤田寿雄、林哲央、高宮泰宏
発表論文等