水稲「大地の星」における湛水直播栽培のコスト低減
[要約]
600s/10aの収量を達成するには籾数35,000粒/u、窒素吸収量12s/10aが必要で、それには穂数750本/u以上、苗立ち数150本/u以上が必要となる。酸素供給剤コーティングの省略や雑草の発生予測による除草剤選択で、生産費を9,200円/60sに低減できる。
[キーワード]
水稲、低コスト、大地の星、湛水直播、酸素供給剤、雑草、除草剤
[担当]道立中央農試・技術普及部、生産研究部・経営科、水田・転作科
[代表連絡先]電話0123-89-2589
[区分]北海道農業・水田・園芸作
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
水稲作では担い手不足や経営面積の集中化が進み、また低米価の状況が続いている。そこで、冷凍食品材料などで需要のある「大地の星」を用い、安定確収と資材費削減により低米価に対応した直播栽培導入を提案する。
[成果の内容・特徴]
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600s/10aの収量を達成するには籾数35,000粒/u、窒素吸収量12s/10aが必要で、それには穂数750本/u以上、苗立ち数150本/u以上が必要となる。
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収量および外観品質から判断される収穫適期は登熟温度で1000℃が目安である。
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酸素供給剤をコーティングしない湛水直播栽培を行う場合には、播種量を基準の20%増(13kg/10a)にすることが必要である。ただし、泥炭地での播種量増は倒伏のリスクがあることから10%程度(12kg/10a)が望ましい。
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耕起前に土壌を採取し、雑草発生を見たときに、発生が少なければ本田の発生も少ない傾向が認められる(図1)。この採取土壌からの発生数に応じて使用する除草剤を選択することにより、無駄のない除草剤使用で資材費低減が可能である(図2)。
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実証経営における直播栽培は,移植栽培に比して、物財費で4,000円/10a、総費用で9,700円/10a低い(表1)。直播栽培の低コスト化は播種機の共同利用と技術習得を前提とし、これには20ha程度の播種機稼働面積の確保を目指す必要がある。
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以上から、収量600s/10a以上の安定生産のための目標値およびコスト削減ための対策が取りまとめられる(表2)。これに基づく実証経営の生産費は9,200円/60kgであり、1俵一万円の低米価で収益のある直播栽培が提案できる。
[成果の活用面・留意点]
- 湛水直播栽培におけるコスト削減の参考とする。
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本成績のとくに除草剤使用法については「大地の星」以外の品種での直播栽培に対しても参考となる。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「水稲「大地の星」における湛水直播栽培のコスト低減」(普及推進)[具体的データ]
[その他]
研究課題名:大規模水田農業の湛水直播栽培による道央版稲作コスト削減対策の現地実証
予算区分:道費(一般)
研究期間:2007〜2008年度
研究担当者:古原洋、平石学、熊谷聡、内山誠一、飯田修三、中住晴彦、金子剛、池田信、木俣栄、乙部裕一
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