下層が堅密・強酸性な土壌における心土肥培耕による酸性矯正の効果


[要約]

[キーワード]

[担当]道立上川農試・技術体系化チーム
[代表連絡先]電話0166-85-4109
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 心土20〜50cm深(30cm厚)中に、炭カル、ライムケ−キ(粒状)を投入する心土肥培耕プラウの施工により、心土の粗孔隙、透水係数等物理性が改善されるとともに、酸度矯正が矯正される。ただし、施工3年目では物理性の改善効果が低下すると見られる場合がある(表1)。
  2. 心土破砕により亀裂に沿って根が進入し石灰資材まで到達するなど、根系の拡大が認められる。この影響により、てんさい、スイートコーン、赤えんどうで、慣行区(無施工)に対して比較的高い増収効果が得られ、小麦でも増収効果が認められる(表2)。
  3. 作土pHが低い場合には効果が認められないことが多く、安定した効果を得るには、作土pH5.3以上(y1=9以下)が必要である。当該pH以上の増収効果程度の平均は施工後2ヵ年で13%程度であり、心土の改良目標としてはpH5.8(y1=3)が適当である。
  4. 心土肥培耕の施工に要する総費用は、炭カル全量区で564,941円/ha、ライムケーキ区で508,289円/haとなる(表3)。一方、心土肥培耕による年効果額(増加純収益)に基づき作物生産効果を求め、これに営農費節減効果を加えると、総便益は798,707円/haとなる(表4)。以上の結果から総費用総便益比を求めると(@式参照)、炭カル全量区で1.41、ライムケーキ区で1.57となり、本試験で実証した心土肥培耕は十分な経済効果を発揮すると判断できる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成績は心土が堅密で酸性の強い土壌における生産性向上技術として活用できる。
  2. 施工効果を得るため作土土壌pHを土壌診断基準値以内とし、その後も適正に管理する。
  3. 施工は土壌水分の適正な時期に実施し、施工後の整地を十分に行う。
  4. 心土肥培耕の効果を持続させるため、心土破砕を適宜(4〜8年に1度)実施する。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「石灰資材を投入した心土肥培耕による低生産性土壌の改良効果実証」(指導参考)

[具体的データ]

[その他]




目次へ戻る