大玉・多収で加工に適するたまねぎ新品種候補「HT46」
[要約]
たまねぎ「HT46」は、青果用品種「スーパー北もみじ」より大球・多収で、加工用品種「純心」より倒伏期が早く、貯蔵性に優れる。加熱・加工適性に優れ、紅色根腐病発生ほ場での被害が小さい。
[キーワード]
[担当]道立北見農試・作物研究部・畑作園芸科、ホクレン農業協同組合連合会
[代表連絡先]電話0157-47-2483
[区分]北海道農業・水田・園芸作
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
現在、北海道では大玉多収品種「純心」が加工用として栽培されているが、熟期が遅く、抽台発生率が高いため、作付はごく一部の地域に限られており、加工用の大部分は「スーパー北もみじ」等の青果用品種が使用されている。加工用たまねぎは青果用に比べ価格水準が低いため、青果用品種では収量性が不足し収益性が劣り、生産現場では低コスト生産可能な加工用多収品種が望まれている。また実需者からは、歩留りや、作業性の面において大玉である品種が望まれている。北見農試とホクレンでは、低コスト生産を実現できる、加工しやすくて加工歩留まりが高い大玉・多収品種の育成を進めてきた。
[成果の内容・特徴]
-
大球・多収を目的として育成した種子親系統「PR94504-01-03A」と花粉親系統「PR94517-01-01m1M」を交配して得られた、北見農試とホクレンとの共同研究育成による単交配一代雑種系統である。
-
倒伏期は「スーパー北もみじ」よりやや遅く、「純心」よりやや早い(表1)。
-
耐抽台性は「スーパー北もみじ」ほど強くはないが、「純心」より発生率は低い(表1)。
-
総収量および平均一球重は「スーパー北もみじ」に優り、「純心」にやや劣る(表1)。規格内収量構成比では、2L以上とL大の合計が規格内収量の90%を占め、「純心」と同程度の球肥大を示す(表1)。]
-
貯蔵後の健全球数率から、貯蔵性は「スーパー北もみじ」にやや劣り、「純心」に優る(表1)。
-
乾腐病抵抗性は、強指標品種「スーパー北もみじ」に劣り、弱指標品種「さらり」と同程度〜やや優る(表2)。
-
実需による加工適性評価では、大球であるため「スーパー北もみじ」と比較すると、むき玉処理作業性に優る。ソテー加工においては、加熱処理の仕上がり時間が早く、歩留りは高い(表3)。
-
紅色根腐病発生ほ場における被害は「スーパー北もみじ」より小さい(表4)。
[成果の活用面・留意点]
- 普及対象地域は全道のたまねぎ栽培地域である。
- 乾腐病抵抗性は「スーパー北もみじ」より劣るので、本病害が多発するほ場での栽培は避ける。
-
耐抽台性は「スーパー北もみじ」ほど強くないため、早期は種や早期定植は避ける。
-
熟期がやや遅いので、生育遅延の著しい地域・ほ場での作付は避ける。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「たまねぎ新品種候補「HT46」」(普及奨励) [具体的データ]
[その他]
研究課題名:良食味・高貯蔵性たまねぎ新品種育成
予算区分:共同研究
研究期間:2004〜2008年度
研究担当者:柳田大介、西田忠志、野田智昭、森尚久、萩原拓也、田畑紀保子、岸田力哉
目次へ戻る