花ゆり「きたきらり」の安定栽培法
[要約]
花ゆり「きたきらり」において、冷凍貯蔵球根を利用した無加温5月〜8月植え夏秋切り作型で、球周12〜14pでは3芽以下、14p以上では4芽以下の球根を使用することで花蕾数1茎当たり3輪以上の切り花を安定して生産できる。
[キーワード]
[担当]道立花野技セ・技術体系化チーム
[代表連絡先]電話0125-28-2800
[区分]北海道農業・水田・園芸作
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
小輪性で多芽性を有する花ゆり「きたきらり」の高品質安定生産のために従来の作型(5月定植)の拡大と花蕾数(1茎当たり3輪以上)を確保するための球根品質(球根サイズおよび芽数)を検討し、栽培技術体系を提示する。
[成果の内容・特徴]
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冷凍貯蔵球根を用いた6月、7月、8月の定植において、定植期による切り花長、一茎当たり花蕾数およびその他の切り花品質への影響はみられず、いずれの定植期においても、十分な品質の切り花を採花可能である(表1)。よって、冷凍貯蔵球根を利用した5月〜8月上旬定植により、7月から10月中旬までの収穫期の拡大が可能である。
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株間×条間が15〜20pの範囲では、切り花長、一茎当たり花蕾数およびその他の切り花形質に影響しない。また、葉枯病に対する影響もみられない。生産者慣行の株間15p×条間15pが適当である。
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球根サイズについて、球周10〜12pは1茎当たり3輪以上の割合が低く、切り花生産に向かない(表2、図1)。球周12〜14pでは3芽以下を使用する。球周14p以上では4芽以下を使用する。なお、5芽以上は3輪以上の切り花を得られないことがあるため使用しない。
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「きたきらり」の花芽は、冷凍貯蔵開始時点では未分化であるが、冷凍貯蔵中から分化を開始し、解凍後急速に分化が進み、定植時には腋芽の分化に達し、萌芽する頃には花序は形成済みである。よって、萌芽後の摘芽には一茎当たりの花蕾数を増加させる効果はない。
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以上の結果から1茎当たり3輪以上の切り花の安定栽培を目的とした「きたきらり」栽培技術体系は表3の通りである。
[成果の活用面・留意点]
- 花ゆり「きたきらり」の出荷期間拡大および1茎当たり3輪以上の切り花の安定栽培に活用する。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「花ゆり「きたきらり」の安定栽培法」(指導参考)[具体的データ]
[その他]
研究課題名:小輪性花ゆり新品種の安定生産技術確立による産地支援
予算区分:道費(農政部事業・革新)
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:黒島学、高宮泰宏、藤田寿雄、林哲央、福川英司、小松勉
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