畑作酪農地帯における畑作受託による酪農コントラクターの運営安定化対策


[要約]

[キーワード]

[担当]道立十勝農試・生産研究部・経営科
[代表連絡先]電話0155-62-2431
[区分]北海道農業・畑作
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. A町農協コントラクターは、平成13年に酪農家の粗飼料収穫の支援を目的に新設され、平成8年から農産部で実施していた豆類収穫の受託を継承した。平成19年時点では、オペレーター6名体制で、粗飼料・豆類収穫の他に耕起、融雪剤散布、除礫および野良芋対策の除雪作業を受託している。
  2. 平成19年時点の受託面積は2,222ha(うち畑作は1,531ha)となっている(表1)。このうち、豆類収穫は264ha(畑作受託面積の17%)に達しており、拡大傾向にある。作業時間とその変動係数をみると、畑作受託を行うことで、年間作業量の確保と平準化を可能にしていることがわかる。また、コントラクターの当期純損失は減少傾向にあり、採算性が高まっている。これには、売上高の増加がプラスに作用しており、特に、豆類収穫割合の高まりに起因して、畑作部門の平均単価が増加したことが影響している(表2)。
  3. A町農協コントラクターでは、畑作受託に取組む際に、農業経験者を採用することで、作業への即応性を高めるとともに作業精度向上を可能にしている。また、作物毎に委託とりまとめ期日を設定し、酪農との競合を避けた作業計画を策定するとともに、粗飼料と豆類の収穫作業の計画策定や実施場面では、農協内の関連部署と連携を維持している。特に、大豆の収穫場面では作業計画の策定、収穫適期の判断、収穫時の品質評価において農産部穀類課と連携し、適期作業や品質向上を可能にしている(図1)。さらに、堆肥関連作業や基盤整備作業は、委託希望をとりまとめることで、農協外の建設会社と連携し、過剰な資本装備を回避するといったリスク対策をみせている。
  4. A町農協コントラクターの運営安定化に向けた取り組み実態をもとに、農協営コントラクターが畑作の受委託体制を稼働させる際の運営安定化対策を表3のとおり整理した。畑作受託の課題である作業精度向上、適期作業、運営上のリスク回避に対する運営安定化対策が不可欠である。さらに、こうした対策による効果を継続的に発現させるために、受託作業に関するコントラクターの運営方針を明確にした上で、受託量の事前予測を徹底し、経営資源に基づいて作業計画を再構築する必要がある。

[成果の活用面・留意点]

  1. 畑作受託に取組む際には、土壌伝染性病害虫の拡散防止対策を徹底する。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「畑作酪農対応型コントラクターにおける畑作受託の効果と運営安定化対策」(指導参考)

[具体的データ]

[その他]




目次へ戻る