早熟、大粒で、良食味のそば新品種候補「北海11号」
[要約]
そば品種「北海11号」は、「キタワセソバ」と比較し、早熟、大粒で、多収である。実需評価では子実の脱皮歩留りが高く、味、かたさ及び弾力等の食味もよい。
[キーワード]
[担当]北海道農研・寒地地域特産研究チーム、機能性利用研究北海道サブチーム
[代表連絡先]電話011-857-9260、電子メール
seika-narch@naro.affrc.go.jp
[区分]作物、北海道農業・畑作
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
北海道は普通ソバの国内の主要産地である。しかし、ソバブームの中で全国各地に産地が拡大し生産が増大した。そのため、価格が下落し、道内の主産地における大規模生産者への影響は深刻である。また、「キタワセソバ」の拡大により実需からは「キタワセソバ」の小粒化が問題視されるようになってきた。良質多収の新品種育成により地域振興策及び新たな需要拡大に貢献する。
[成果の内容・特徴]
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「北海11号」は、1986年北海道農試が収集した在来種「端野・緋牛内」より選抜された品種である。2001年、1000個体の「端野・緋牛内」から50個体を選抜し、2002年より2007年までの間に派生50系統から最終的に「北海11号」を選定したものである。
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「北海11号」の開花期は「キタワセソバ」と同程度だが、成熟期は0〜6日程度早熟である。生態型は「キタワセソバ」と同じ夏型であり、草型は直立・短枝型である(表1)。
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「北海11号」は、「キタワセソバ」と比較し、草丈が同程度〜やや短く、耐倒伏性は同程度であり、多収である。容積重はやや小、千粒重はやや大、粒の長さは同程度であるが、粒の幅がやや広の大粒である(表1)。
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「北海11号」は、原品種「端野・緋牛内」に比し、成熟期で6日早く、草丈で5cm短い。第1次分枝数も少なく、明確に区別される(表2)。
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「北海11号」は、実需による加工適性試験により、子実の脱皮歩留りが良い(表1)。また、麺の食味試験ではソバの色調で低いが、味の強さ、香り、麺のかたさ、弾力等で「キタワセソバ」よりよい評価である(図1)。
[成果の活用面・留意点]
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今後、系統適応性検定試験、現地検定試験および現地栽培実証試験を実施して優良性・有用性を評価し、普及の可能性を検討する。
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:寒地における地域特産作物の優良品種の育成及び利用技術の開発
課題ID:311-f
予算区分:基盤、委託プロ(ブラニチ)
研究期間:2001〜2008年度
研究担当者:本田裕、六笠裕治、鈴木達郎
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