小型加速度計を用いた牛の採食、反芻、休息行動の識別


[要約]

[キーワード]

[担当]北海道農研・集約放牧研究チーム
[代表連絡先]電話011-857-9260、電子メール seika-narch@naro.affrc.go.jp
[区分]北海道農業・畜産草地、畜産草地
[分類]研究・普及


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 小型加速度計(本試験例ではG-MEN DR10 (株)スリック)を頭絡を用いて牛の下顎に装着する(図1)。図2のような3方向の加速度のデータが得られる(放牧している黒毛繁殖和牛の例、記録間隔1秒)。行動観察(行動を「採食」、「反芻」、「休息」の3つに分けて分類)との比較の結果、加速度の振幅の大きさ順に採食>反芻>休息とおおよそではあるが視覚的にこれらの行動の識別ができる(図2)。
  2. 加速度データを用いた精度の高い統計的な行動の識別は非線形判別分析を用いて以下のように行う(図3)。
    (1)3軸および合力の1秒間隔の加速度データからそれぞれ1分あたりの平均値と変動係数の逆数(平均値/標準偏差(Inverse of Coefficient Variation): 以下ICV)を算出して、1分ごとの加速度データセットを作成する(計8変数)。
    (2)直接観察により行動を既に分類している加速度データセットを用いて、行動ごとの平均と分散共分散行列を求める。計算過程が煩雑となるため統計専門ソフトウェアを使用して行う。本成果ではフリーソフト”R” (http://www.r-project.org/)とそのMASSパッケージを使用して(2)と(3)の計算を行う。
    (3)行動が未知の加速度データセットについて各行動の平均との距離(マハラノビスの距離)を求めて、一番近い距離を持つ行動に分類する。
  3. この判別法を新たなデータセットを用いて検証すると平均して95%の正答率で各行動の識別がなされ(表1)、省力的に高精度で採食、反芻、休息行動の識別が可能である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 直接観察やビデオ観察が労力的に困難である放牧草地において、放牧牛の行動パターンの把握研究に新しい手法を提供する。また、舎飼い牛の行動パターンの把握にも有効である。
  2. 市販の他の加速度計でも同様の効果が期待できる。長期間の測定には大容量のデータロガーもしくは無線式によるデータの取得ができる機器が必要である。

[具体的データ]

[その他]




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