しょうゆ油は乳牛用飼料として利用できる


[要約]

[キーワード]

[担当]道立根釧農試・研究部・乳牛飼養科、乳質生理科
[代表連絡先]電話0153-72-2036
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 粗濃比75:25の混合飼料(TMR)を不断給餌した泌乳牛では、しょうゆ油を第一胃内に1000g/日投与しても、乾物摂取量(DMI)、総揮発性脂肪酸(VFA)濃度および乳量に大きな変化はなく、酢酸/プロピオン酸比(A/P比)も3.5以上で推移する。
  2. 粗濃比50:50のTMR を不断給餌した泌乳牛では、しょうゆ油を0、200、400、600g/日投与すると、投与量が増加するにつれ、DMIが低下する傾向にある(p=0.11)(表1)。第一胃内の総VFA濃度とA/P比に対するしょうゆ油投与量の影響は小さい(図1)ものの、乳脂肪率はしょうゆ油投与量が多いほど低下する傾向にあり(p=0.09)、600g/日では著しく低下する(表1)。
  3. しょうゆ油または大豆油をアルファルファミールに吸着させ、給餌TMR にトップドレスで泌乳牛に油脂400g/日相当量を摂取させると、油脂添加によって乳タンパク質率が低下するものの、摂取量、乳量および乳タンパク質率以外の乳成分は無添加区と変わらない。また、油脂源による差は認められない(表2)。
  4. しょうゆ油の粗脂肪消化率とTDN含量はそれぞれ95.4%、214.1%と高く、大豆油や植物性油脂と同程度である(表3)。
  5. しょうゆ油の給与は、大豆油と同様に乳脂肪中のトランスバクセン酸と共役リノール酸(c9t11CLA)割合と生乳中のc9t11CLA含量を有意に高める(p<0.01)(表12)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 乳牛へしょうゆ油を給与する際の有効な技術情報である。
  2. 本成果は牧草サイレージ主体飼養時のデータである。
  3. しょうゆ油を給与する場合でも、飼料全体の粗脂肪含有率は6%DM程度を上限とする。
  4. 大豆油と同様、しょうゆ油を多量に用いると、乾物摂取量と乳蛋白質率が低下する可能性がある。

   平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
   「しょうゆ油の飼料特性と泌乳牛への給与水準」(指導参考)

[具体的データ]

[その他]




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