交雑種(黒毛和種×ホルスタイン種)肥育牛における筋肉水腫低減対策および尿石症検出の指針


[要約]

[キーワード]

[担当]道立畜試・基盤研究部・病態生理科、家畜研究部・肉牛飼養科
[代表連絡先]電話0156-64-5321
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 交雑種肥育牛は、ビタミンA不足飼料を11か月齢から19か月齢まで給与すると、筋肉水腫が多発する(図1)。ビタミンA不足飼料の給与を14か月齢から20か月齢に変更すると、筋肉水腫は低減する。
  2. 筋肉水腫少発時期の牛群は月齢による血清ビタミンA値が負の一峰性に変動するが、多発時期では少発時期に比べ、早期の欠乏およびビタミンA給与後においても欠乏がみられる(図2)。
  3. これらの結果より、筋肉水腫の発生要因は肥育前期からの長期に及ぶビタミンA摂取不足であり、低減には少発時期のビタミンA給与法(図1)をもとに、適切なビタミンA摂取の確保が重要である。さらに、多発時期にみられるように、ビタミンAを給与しても血清ビタミンA値が低値であることもあるので、少発時期のような血清ビタミンA値変動パターン(図2)を確認する牛群のモニタリングを実施する。
  4. 陰毛の結石析出による一般的な目安での尿石症の検出率は33%(4/12頭)と低い(表1)。これに対して、排尿困難症状は尿石症全頭にみられ、尿石症の検出法として、より有効である。
  5. 尿石症牛で、その後の治療結果で治癒牛と死亡牛に分けた場合、治癒牛と死亡牛の初診時血中尿素窒素(BUN)はそれぞれ27.3±20.7と120.1±60.8(mg/dl)で、死亡牛は治癒牛に比べて高い(p<0.01)。また、尿石症牛は治癒牛と死亡牛ともに、健常牛のBUN 14.3±2.8(mg/dl)と比べて高い(p<0.01)。これらの結果から、排尿困難の症状とBUNによる尿石症検出の指針を示す(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 飼料中ビタミンA含量は変動が大きいので、血清ビタミンA値のモニタリングを実施する。
  2. 尿石症検出の指針は黒毛和種牛、ホルスタイン種牛にも応用できる。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「交雑種(黒毛和種×ホルスタイン種)肥育牛における筋肉水腫低減対策および尿石症検出の指針」(指導参考)

[具体的データ]

[その他]




目次へ戻る