天北地方における2番草の利用・飼料成分等の実態調査からみた問題点とその改善策
[要約]
現地農家では、2番草へ施肥している割合は49%にとどまる。草種ごとの適切な刈取時期を守り、2番草へも窒素施肥を行えば、乾物収量250kg、TDN(可消化養分総量)60%、およびWSC(水溶性糖類)12%以上を確保でき、良質粗飼料として生産できる。
[キーワード]
[担当]道立上川農試・天北支場・技術普及部
[代表連絡先]電話01634-2-2111
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
良質粗飼料としての2番草の生産に資するため、現場における2番草の利用・飼料成分等の実態および栽培管理が収量・品質に及ぼす影響を明らかにし、その問題点と改善策を示す。
[成果の内容・特徴]
-
個人経営の酪農家に対するアンケート調査の結果、多くの酪農家が2番草をロールベール、バンカーサイロ、乾草の形態で飼料として利用しているが、2番草へ施肥しているのは全体の49%である(図1)。うち、2番草を「利用も期待もする」酪農家でも、施肥を「余裕があればする」と「しない」が計43%である。この値は、「利用するが期待しない」酪農家では65%に高まる(データ非掲載)。
-
PR(ペレニアルライグラス)2番草に窒素を施肥しないと、収量、TDN、WSCが対照区より低下し、逆にNDF(中性デタージェント繊維)は上昇する。特に収量、WSCが激減することは、2番草に対する窒素施肥の重要性を示す(データ非掲載)。
-
OG(オーチャードグラス)、PR、TY(チモシー)いずれの草種でも、2番草生育日数と施肥量が多いほど多収となる。その程度はTYで最も明瞭である。(図2)。
-
1番草の刈取時期と2番草の生育日数が2番草の飼料成分に及ぼす影響は草種により異なる。すなわちOG、PRは1番草を出穂始に刈取ることにより、2番草の飼料成分が改善されるが、TYではそのような傾向は認められない。また、2番草の生育日数が長いほどOGとPRは飼料成分が低下する。窒素の減肥が飼料成分含量に及ぼす影響は刈取と比べると小さい(表1)。
-
これらから、1番草の刈取時期をOG、PRが出穂始でTYは出穂始〜出穂期、2番草の生育日数をOGが40日、PRが40〜50日、TYが60日とし、窒素を標準量施肥することにより、本試験で設定したWSCを含めた良質牧草としての2番草を概ね得られる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 本成績は良質粗飼料生産のための刈取管理および施肥設計に活用する。
-
天北地方における草地管理では、草種特性を考慮することが特に重要である。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「天北地方における2番草の利用・飼料成分等の実態調査からみた問題点とその改善策」(指導参考)[具体的データ]
[その他]
研究課題名:寒地における2番草の飼料成分向上対策技術の開発
草地生産技術の確立・向上対策 2.道北多雪地帯向け低コスト草地改良試験
予算区分 :受託(国費・独法)、道費
研究期間 :2006〜2007年度、2002〜2004年度
研究担当者:岡元英樹、古館明洋
目次へ戻る