各種病害虫に対するドリフト低減ノズルの防除効果
[要約]
小麦、大豆、菜豆、ばれいしょ、てんさい、たまねぎの主要な病害虫に対しドリフト低減ノズルを用いた際の防除効果は慣行ノズルによる防除効果とほぼ同等である。
[キーワード]
[担当]道立中央農試・生産環境部・病虫科、予察科、道立中央農試・環境保全部・クリーン農業科、道立十勝農試・生産研究部・病虫科、道立北見農試・生産研究部・病虫科、北海道植物防疫協会(ホクレン、北海道糖業)
[代表連絡先]電話0123-89-2001
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
農薬散布における農薬のドリフト(漂流飛散)低減対策として、その発生が少ないドリフト低減ノズルが開発された。慣行ノズルに比較して噴霧粒子径が大きいドリフト低減ノズルを用いた際に病害虫に対する防除効果に影響が出ることが懸念されるが、現在までその影響に関する知見は十分ではない。そこで、北海道の主要作物の主な病害虫を対象に、ドリフト低減ノズルによる防除効果と慣行ノズルによる防除効果を基幹的薬剤を用いて比較し、生産現場での参考に供する。
[成果の内容・特徴]
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ドリフト低減ノズルA(キリナシESノズル、表1参照)では、小麦の雪腐褐色小粒菌核病、うどんこ病、赤さび病、赤かび病、大豆のべと病、菜豆の灰色かび病、ばれいしょの疫病、アブラムシ類、てんさいの褐斑病、ヨトウガ、たまねぎのネギアザミウマに対して、慣行ノズルと同等の防除効果である(表2、表3)。たまねぎの白斑葉枯病に対してはやや劣る場合がある(表2)。
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ドリフト低減ノズルB(エコシャワー、表1参照)では、小麦の赤さび病、赤かび病、菜豆の灰色かび病、ばれいしょの疫病、アブラムシ類、てんさいの褐斑病、ヨトウガ、たまねぎの白斑葉枯病、ネギアザミウマに対して、慣行ノズルと同等の防除効果である(表2、表3)。
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ドリフト低減ノズルC(試作V型、表1参照)では、小麦の赤かび病、ばれいしょのワタアブラムシ、たまねぎの白斑葉枯病、ネギアザミウマに対して慣行ノズルと同等の防除効果である(表2、表3)。
[成果の活用面・留意点]
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本成果はドリフト低減ノズルによる病害虫防除の試験事例をとりまとめたものである。ドリフト低減ノズルを用いる際の参考とする。
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試験は散布水量100あるいは150L/10a、噴霧圧力1.0あるいは1.4MPaで実施した。生育に応じた適切な散布水量およびノズル
指定の適正噴霧圧力を遵守すること。
- 適期散布に留意すること。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「各種病害虫に対するドリフト低減ノズルの防除効果」(指導参考)[具体的データ]
[その他]
研究課題名:環境保全型汎用薬液散布装置の開発
予算区分:受託(国費・独法)
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:田中文夫(道立中央農試)、相馬潤(道立中央農試)、新村昭憲(道立中央農試)、清水基滋(道立十勝農試)、小野寺鶴将(道立十勝農試)、古川勝弘(道立北見農試)、児玉不二雄(北植防)、田村修(北植防)、中里秀昭(ホクレン)、鷹田秀一(ホクレン)、西村直樹(ホクレン)、大上大輔(ホクレン)、妹尾吉晃(北海道糖業)
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