土壌深耕還元消毒の適用時期拡大のための春期と秋期における処理条件
[要約]
春期と秋期の深耕還元消毒処理は、灌水量250mm以上、米ぬか処理量2t/10a、処理期間を30日間とし、春期は処理期間後半の、秋期は処理期間全般の40cm深地温を25℃以上確保することで安定した消毒効果が得られる。
[キーワード]
土壌深耕還元消毒、春期、秋期、多灌水、40cm深地温
[担当]道立花野技セ・研究部・病虫科
[代表連絡先]電話0125-28-2800
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
これまで土壌深耕還元消毒は、道内では夏期に限定して実施されてきたため、多くの場合1作休む必要があった。そのため、作付け前の春期および作付け終了後の秋期に安定した土壌消毒効果を得るための条件を明らかにし、適用時期の拡大を図る。
[成果の内容・特徴]
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春期、秋期いずれの深耕還元消毒処理においても、250mm以上の多量灌水によって土壌中の指標菌Fusarium oxysporumの菌密度が低下し、安定した消毒効果が得られる(表1,2)。
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米ぬか処理量は春期、秋期いずれも2t/10aで安定した効果が得られる(表1,2)。
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春期、秋期いずれの処理においても処理後25日前後に指標菌Fusarium oxysporumの菌密度が減少し、処理期間を30日間確保すれば消毒効果は得られる。
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春期は処理期間中の40cm深の平均地温が22〜23℃で25℃以上積算時間が200時間以上、秋期は40cm深の平均地温が25℃前後で25℃以上積算時間が420時間以上の条件が確保された場合に効果が認められる
(表1,2)。これらのことから、春期は処理後半の、秋期は処理全般の40cm深地温を25℃以上確保することが重要であり、処理開始時期は可能な限り春期処理では遅く、秋期処理では早くすることにより、効果を安定させることができる。
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アメダスデータから、春期は処理期間中の平均気温が11℃以上、秋期は13℃以上で経過すれば40cm深地温25℃を確保できると推定される(表1,2)。中空知地域では春期は4月下旬以降、秋期は9月中旬以前の処理開始がこれに相当する。
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以上の条件検討から、春期と秋期の深耕還元消毒法の処理条件を表3に示す。
[成果の活用面・留意点]
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春期、秋期の土壌消毒技術として活用する。
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本試験は中空知地域を中心に行った。
- 土壌水分保持力が低い場合は安定した還元状態が得られないため消毒効果が低下する。
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処理後一作目の栽培前には土壌診断を行い、かつ施肥管理に留意する。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「土壌深耕還元消毒の春秋期処理による適用時期拡大」(指導参考)[具体的データ]
[その他]
研究課題名:土壌還元消毒の低温期処理による適用拡大
予算区分:道費(一般)
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:西脇由恵、小松 勉
発表論文等:小松(2008)北日本病虫研報、59:33-37
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