アカヒゲホソミドリカスミカメの性フェロモントラップによる斑点米の要防除水準
[要約]
北海道で開発した本カメムシの性フェロモントラップによる捕獲虫数と斑点米率の関係から、斑点米率0.1%以下に抑えるための追加防除の要否は、防除間隔の7日間の積算捕獲虫数によって判断できる。
[キーワード]
アカヒゲホソミドリカスミカメ、斑点米、性フェロモントラップ、要防除水準
[担当]道立道南農試・病虫科、道立中央農試・予察科、道立上川農試・病虫科
[代表連絡先]電話0138-77-8116
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
アカヒゲホソミドリカスミカメの性フェロモントラップを活用して、様々な栽培環境、品種、各種防除法など各地域の条件に対応する要防除水準を設定し、簡便で地域適用性の高い防除モデルを策定する。
[成果の内容・特徴]
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徐放性誘引製剤と捕獲部分が網円筒からなる性フェロモントラップ(以下、トラッ プ)は、長期間にわたり安定した誘引捕獲性能を示す。
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トラップは、同一防除区域に外周部から30m以上水田側に入った細い畦畔沿に少なくとも3基を設置することで、水田での発生密度を安定した精度で捉えることができる。
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本カメムシの要防除水準は、出穂後30日間の水田トラップ捕獲虫数と斑点米率の関係から設定される(図1)。この積算虫数を1日当たりに換算し、防除間隔の7日間で積算した値を防除要否の基準とする(表1)。斑点米率0.1%以下(1等米)に抑えるには、7日間の捕獲虫数が「ほしのゆめ」ではトラップあたり1.2頭、「きらら397」で同2.2頭が防除要否の目安となる。
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斑点米率0.1%以下にするための7日間のトラップ捕獲虫数の防除要否の基準に従って追加防除を行うと、「ほしのゆめ」および「きらら397」で斑点米率が0.1%となり(表2)、防除への適用性が確認できた。
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本カメムシのトラップ捕獲虫数による追加防除の要否判定の手順は、図2のとおりである。
[成果の活用面・留意点]
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本成績の要防除水準の調査には、すでに開発している性フェロモントラップ(平成17年研究参考)を用いる。
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性フェロモントラップによる要防除水準は、各地区の防除組合および各農家が実施する斑点米防除に活用する。
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性フェロモントラップは、地域の広域的な発生状況の把握に活用できる。
平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「アカヒゲホソミドリカスミカメの性フェロモントラップを用いた斑点米の要防除水準」(指導参考)[具体的データ]
[その他]
研究課題名:アカヒゲホソミドリカスミカメによる斑点米低減を目指した新防除モデル
予算区分:道費(一般)
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:柿崎昌志、岩崎暁生、三宅規文、斉藤美樹
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