下層土窒素診断によるホウレンソウの硝酸塩低減施肥法


[要約]

[キーワード]

[担当]道立花野技セ・研究部・栽培環境科
[代表連絡先]電話0125-28-2800
[区分]北海道農業・生産環境
[分類]技術・普及


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. .各農家ハウスの慣行栽培における土壌硝酸態窒素含量は作土層(深さ0〜20cm)、下層(深さ20〜40cm)とも作期が進むと高まり、夏以降に下層で10mg/100gを超えるハウスが見られる(データ略)。作土層の土壌硝酸態窒素含量に基づき北海道施肥ガイドの方法で窒素施肥量を算出すると、年間合計窒素施肥量が平均で慣行施肥量より43〜68%削減されるが、この施肥対応を行ってもホウレンソウの硝酸塩濃度が北海道の夏どり栽培における指標値(硝酸イオンで300mg/100gFW)を下回らない作期が多い(表1)。
  2. ホウレンソウの根系は主に深さ10〜30cmにあり、深さ20〜30cmにある硝酸態窒素を最も多く吸収することから(図1)、ホウレンソウの硝酸塩濃度を低減させるためには、深さ20〜40cmの層位に残存する硝酸態窒素を評価する必要がある。
  3. 深さ40cmまでの土壌硝酸態窒素に基づいて施肥対応を行うと、硝酸塩濃度が夏どり栽培指標値を下回り、1.2t/10a程度の粗収量も概ね確保された(表2)。深さ60cmまでの含有量を用いると、硝酸塩濃度はさらに低下するが収量が低下する場合がある。
  4. 深さ40cmまでの分析値に基づいた施肥対応で年間4〜5回栽培すると、窒素施肥量は作土層の分析による現行法より36〜52%削減され、窒素吸収量と同程度以下になる(表2)。従って、土壌硝酸態窒素の蓄積したハウスで本対応を継続することにより、長期的には土壌窒素レベルが適正化すると期待できる。
  5. 播種前の大量かん水で前作跡地の硝酸態窒素は深さ40cm以下に溶脱するが、栽培期間中に再上昇してホウレンソウに吸収され硝酸塩濃度を高める(データ略)。よって、下層土窒素診断のための土壌採取は現行通り前作の終了時に行うのが妥当である。
  6. 以上のことから、ホウレンソウ栽培ハウスでは、栽培前(前作の栽培終了時)に深さ40cmまでの土壌を診断することとする。具体的な窒素施肥対応の方法を表3に例示する。

[成果の活用面・留意点]

    有効土層が深さ40cm以上確保されたハウス土壌を対象として、ホウレンソウの硝酸塩濃度を低減させるための土壌窒素診断法として活用する。

   平成20年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
   「下層土窒素診断による道産ほうれんそうの硝酸塩低減栽培法」(指導参考)

[具体的データ]

[その他]




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