経済性とマーケティングからみたクリーン農業の定着条件


[要約]

[キーワード]

[担当]道立十勝農試・生産研究部・経営科、道立中央農試・生産研究部・経営科
[代表連絡先]電話0155-62-9828
[区分]北海道農業・水田園芸作
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. クリーン農業技術の導入を進める先進事例の生産費から以下が指摘できる(表)。    ア)肥料費は、有機質肥料の使用や緑肥等の土壌管理技術を実践することから慣行の水準を上回るのに対して、農業薬剤費は、慣行の水準を下回る。イ)人手による除草体系を採るにんじんや大豆では、慣行栽培よりも労働時間が増加するのに対して、機械による除草体系を採る食用ばれいしょでは、労働時間の増加は認められない。ウ)調査対象におけるクリーン農産物の生産費は、慣行比89〜119である。
  2. 食用ばれいしょでは、メークインの市場価格に近似する85円/kgの際に採算点となる収量は2,135kg/10a、キタアカリの価格に近似する80円/kgでは2,465kg/10a、男爵いもの価格に近似する75円/kgでは2,915kg/10aである(表)。また、にんじん(べたがけ)では、札幌市場における平均価格に近似する120円/kgの際に採算点となる収量は、2,403kg/10aである。
  3. 大豆では、成績払と品代の合計額に対して採算点となる収量が241kg/10aであるが、実需者との契約取引により、価格にプレミアムを付けることが出来ると、採算点が改善されることになる。
  4. 秋まき小麦では、特定の販売先を確保できたことから、慣行の収穫物と区分された集出荷体系を採っており、賃借料料金を大幅に低下させている。これにより、地域の慣行水準よりも1俵程度少ない収量でも、同レベルのコストにある。ただし、賃借料料金が慣行並の場合、コストに優位性が認められない。
  5. 有利販売の実現には、消費地における実演販売等による生産者の主体的な関与の下、特定の取引先と継続的な関係を保つ流通経路戦略を採ることが大きな影響をもつとともに、単にYES!clean表示を行う製品戦略に留まらない複数のマーケティング戦略を組み合わせるマーケティング・ミックスが不可欠になる(図)

[成果の活用面・留意点]

  1. クリーン農業の高度化に際して、その経済性を把握する場面で参考にする。
  2. クリーン農産物の有利販売に向けた取り組みの参考とする。
  3. 生産費調査を実施した産地は、いずれも取り組み年数が長い先進事例である。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「クリーン農業の高度化と経済性の解明」(指導参考)

[具体的データ]

[その他]




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