光センサーによるだいこん内部障害(バーティシリウム黒点病)の非破壊計測
[要約]
透過光2次微分スペクトルとバーティシリウム黒点病の発病指数からPLS回帰分析法により作成した検量線を活用することにより、光センサーで高精度な発病指数の推定ができる。
[キーワード]
だいこん、内部障害、バーティシリウム黒点病、透過光、スペクトル
[担当]道立中央農試・基盤研究部・農産品質科、道立十勝農試・作物研究部・畑作園芸科、三菱農機株式会社
[代表連絡先]電話0123-89-2585
[区分]北海道農業・水田・園芸作
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
外観による判別が困難で生産・流通上問題となるだいこんの内部障害のうち、バーティシリウム黒点病症状を対象に、光センサー(可視・近赤外分光装置)を用いて、選果ライン上で非破壊かつ連続的に計測し、選別する技術を開発する。
[成果の内容・特徴]
- 写真1に示す内部評価用光センサー(三菱農機株式会社製)を用いて測定した症状の異なる試料(発病指数が0「無症状」および3「障害:甚」)の透過光2次微分スペクトルを比較すると、両者に明確な違いが認められる(図1)。
- 2次微分スペクトルと症状の実測値からPLS回帰分析法により検量線を作成し、作 成した検量線を用いて、評価用試料の2次微分スペクトルから発病指数の推定値を算出すると、2008年および2009年では、それぞれ相関係数R は0.958および0.880、予測標準誤差SEPは0.299および0.472となる(図2)。
- 両年の評価用試料を対象に「推定値1」を閾値として症状の有無を判定すると、発病指数0(無症状)の試料は100%「障害なし」、混入が問題となる発病指数1(障害:微)以上の試料は91%(2008年)および96%(2009年)が「障害あり」、発病指数2(障害:中)以上の試料は100%が「障害あり」と判定できる(図2)。
- 試料の品温が低温(5℃)の場合においても、常温(20℃)に比べて測定精度の低下はなく、5〜20℃の温度帯では光センサーの測定精度に及ぼす影響は認められない(表1)。
[成果の活用面・留意点]
- 選果ライン上でのバーティシリウム黒点病症状の非破壊計測・選別に活用できる。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「光センサーによるだいこん内部障害(バーティシリウム黒点病)の非破壊計測・選別技術」(普及推進)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:だいこんの非破壊内部品質評価・選別技術の開発
予算区分:民間共同
研究期間:2008〜2009年度
研究担当者:小宮山誠一、相馬ちひろ、鳥越昌隆(十勝農試)、五十嵐正和(三菱農機)
目次へ戻る