西洋なし「オーロラ」の安定栽培技術
[要約]
早生で食味が良い有望品種「オーロラ」の幼木期の生育安定促進技術としては本圃接ぎ木法、大苗ポット育苗法、高接ぎ法が有効である。花芽の安定着生化技術としては20cm間隔で花芽を残す摘芽および摘花処理が有効である。
[キーワード]
[担当]道立中央農試・作物研究部・果樹科
[代表連絡先]電話0123-89-2001
[区分]北海道農業・水田・園芸作
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
西洋なし「オーロラ」は早生で果実品質に優れ食味が良いことから栽培が増加している。しかし、「オーロラ」は幼木期の生育が停滞し易く、そのまま枯死する場合があり、他の品種より樹勢が弱く成木化に年数がかかる。また、年によって花芽が少なく必要な結実数を確保できず安定生産が難しいことが栽培上の大きな課題となっている。そこで、本課題では「オーロラ」の栽培の安定化を図り、早生の主力品種として定着させるため、幼木期の生育安定促進技術及び花芽の着生安定化技術について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 本圃接ぎ木法では枯死樹および衰弱樹の発生はなく、幹周は慣行法に比べ大きく、2年程度の生育促進効果が認められる(表1)。
- 大苗ポット育苗法では枯死樹および衰弱樹の発生は慣行法に比べ少なく、幹周は本圃への定植が1年遅いものの慣行法よりやや大きく、生育促進効果が認められる(表2)。
- 高接ぎ法では枯死樹の発生や生育の停滞はなく、花芽が接ぎ木4年目から着生し慣行法に比べ花芽の着生が早く、結実年数の短縮が図られる。
- 摘果のみで摘芽および摘花を行わない無処理樹では当年花芽率と翌年花芽率に負の相関が認められ、目標収量1.5t/10aとして結実量確保に必要な花芽率を25%と推定すると、当年花芽率が50%以上となる場合、無処理では翌年花芽数が不足する可能性が高い(図1)。
- 翌年花芽率は、摘芽・摘花とも枝別処理および20cm間隔処理では全樹処理に比べ低いものの、無処理に比べ高くなり花芽着生に対する改善効果が認められ、収量は20cm間隔処理が枝別処理に比べ多く、「オーロラ」の花芽着生を安定させる方法として、20cm程度の間隔で花芽を残す摘芽および摘花処理が良いと考えられる。なお、要処理水準は作業の効率と年次の振れを考慮して、当年花芽率40%以上とする(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 西洋なし産地において「オーロラ」の栽培に活用する。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「西洋なし「オーロラ」の安定栽培技術」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:西洋なし「オーロラ」の安定栽培技術
予算区分:道費(一般)
研究期間:2005〜2009年度
研究担当者:稲川裕、井上哲也
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