道北露地アスパラガス安定生産に向けた株養成管理技術
[要約]
灌水処理により定植初年目生育と土壌乾燥時の露地立茎栽培における夏芽収量が向上する。定植時の目標土壌pHは6.0〜6.5とする。高畝栽培の効果は認められない。改植時の活性炭資材施用は生育および収量に無施用区との差は認められない。
[キーワード]
アスパラガス、露地栽培、灌水、高畝、土壌pH、活性炭資材
[担当]道立上川農試・研究部・畑作園芸科、栽培環境科
[代表連絡先]電話0166-85-4116
[区分]北海道農業・水田・園芸作
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
アスパラガスの主要産地である道北地域では、近年、収穫量が低下傾向にあり、大きな問題となっている。その要因として、道北地域の土壌、栽培環境があげられ、その対策が強く求められている。そのため、生産性向上に重要な根域の確保を目的とした高畝栽培、露地栽培における収量安定化のための灌水処理について検討し、また、土壌環境がアスパラガスの生育および生産性に及ぼす影響を現地実態調査も取り入れて検討する。
[成果の内容・特徴]
- 上川農試圃場において、灌水処理は無灌水処理に比べ定植年秋期の地上部生育量が増加する(表1)。しかし、現地試験圃場では灌水処理の効果は判然としない。
- 露地普通および露地立茎栽培において、灌水処理による春芽の増収効果は認められない。一方、灌水処理による露地立茎栽培の夏芽の増収効果は、土壌水分がpF2.0を超えるような乾燥時に認められる(図1)。灌水処理は収穫時期によりその効果は異なるが、灌水開始点は春芽、夏芽の収穫期間を通し土壌水分pF2.0とすることが望ましい。
- 現地の実態調査から土壌pHが土壌診断基準値(pH6.0〜6.5)を下回る圃場が多くある。
土壌pHの影響を検討した結果、土壌pHが極めて低い条件では明らかにアスパラガスの生育が劣り、定植時の土壌pHは6.0〜6.5に矯正することが重要である(表2)。
- 高畝栽培は、平畝栽培に比べ、株の養成期間中における地上部生育量の増加および定
植2年目以降に対する増収効果が認められない。
- 改植時の土壌改良資材として活性炭資材の施用効果を検討した結果、いずれの資材、施用量においても定植年秋期の茎数、茎径および定植2年目春芽の収量に無施用区との差は認められない(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 道北地域のアスパラガス露地栽培において適切な株養成管理による収量安定化の資とする。
- 本試験は、灰色低地土(名寄市)、褐色低地土(比布町)で実施したものである。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「道北露地アスパラガス安定生産に向けた株養成管理技術」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:道北露地アスパラガス安定生産に向けた株養成管理技術
予算区分:道費(一般)
研究期間:2005〜2009年度
研究担当者:江原清、五十嵐俊成、菅原章人、植野玲一郎
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