たまねぎ有機栽培用育苗培土の利用技術
[要約]
粘土鉱物系試作培土に有機JAS規格で利用可能なアルギン酸ナトリウムを定植前に散布し浸透乾燥させることで、機械移植可能な固化培土が得られる。
[キーワード]
有機栽培、たまねぎ、培土固化剤、アルギン酸ナトリウム
[担当]道立花野技セ・研究部・野菜科、道立北見農試・作物研究部・畑作園芸科、道立中央農試・生産研究部・機械科
[代表連絡先]電話0125-28-2800
[区分]北海道農業・水田・園芸作
[分類]技術・参考
[背景・ねらい]
たまねぎ有機栽培では一般栽培同様、多くの生産者が機械移植を利用しているが、培土に使用されている化学合成糊剤が有機JAS規格で使用が認められている経過措置期間内に代替技術を開発する必要がある。有機JAS規格で利用可能なたまねぎ育苗培土を開発し、その育苗・機械移植技術を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 粘土鉱物系試作培土C1と0.5%アルギン酸Naを組合せることで固化指数は4.3となり、実用上問題のない高い固化程度が得られ、機械移植における欠株率は低くなる(表1)。アルギン酸Naの固化様式は、ポットと培土の間の間隙から固化剤が浸透し、根鉢側面を包み込むように固めることによる。
- 本組合せにおける機械移植時の作業速度は高速区(0.65m/s、慣行)では欠株率(補正値)が10.1%と高いが、中速区(0.42m/s)では2.4%と低く、移植精度が高まる(表2)。
- 試作培土C1と固化剤が収量に及ぼす影響を手植え試験において検討したが、収量 への影響は認められない(表3)。
- 0.5%アルギン酸Na溶液を散布処理し最適な固化条件を得るには、移植予定の2週間前から培土の乾燥を開始し8日程度の灌水中断期間を設け、ポットと培土の間に間隙を生じさせる必要があり、これにより固化剤が根鉢側面によく浸透する状態になる。また、散布した固化剤の固化にも6日程度の乾燥処理が必要である。固化剤が根鉢下部までよく浸透した場合に欠株率が低く、慣行と同程度の収量水準となる(表4)。
[成果の活用面・留意点]
- みのる式ポット育苗で有機たまねぎ栽培を行う場合に用いる。
- 培土固化には固化剤散布前後の十分な乾燥処理が必須である。
- トレイを育苗ハウスから圃場に移動する際には、衝撃で苗がトレイからこぼれ落ちないよう注意する。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「たまねぎ有機栽培用育苗培土の利用技術」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:たまねぎ有機栽培への高度機械化育苗・移植システムの導入
予算区分:道費(一般)
研究期間:2008〜2009年度
研究担当者:福川英司、田中静幸、柳田大介、木村義彰、平井剛、西田忠志
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