シネンシス系スターチスの遮光による品質向上と越冬作型の生産安定化
[要約]
8月の遮光処理により5月定植二番花では規格内採花本数が増加し、切り花品質も向上する。越冬性が優れた「キノブラン」では融雪後に地際で株を刈り込むことにより採花株率が安定する。
[キーワード]
[担当]道立花野技セ・研究部・花き科
[代表連絡先]電話0125-28-2800
[区分]北海道農業・水田・園芸作
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
シネンシス系スターチスの主要品種の定植可能時期や越冬性を明らかにし、夏秋期の品質向上を目的とした遮光処理技術と越冬性が優れる品種の越冬作型における切り花安定生産に向けた融雪後株管理法を示す。
[成果の内容・特徴]
- 主要品種の定植可能時期や越冬性等の特性を表1に示す。「キノブラン」と比較して「カナリーダイヤモンド」は、高温期に定植すると抽台率がやや低下し、収量は劣るが、一番花、二番花ともに切り花品質は優れる。「キノルージュ」は、高温期に定植しても抽台率が高く、二番花の収量が多い。越冬性および定植2年目の収量は「キノブラン」が最も優れる。
- 5月定植で、一番花採花期前後である8月に遮光処理を行うことで、9月〜10月上旬に採花される二番花では、規格内採花本数が増加し、切り花品質も向上する。また、日照不足であった年でも効果が認められる(表2)。「カナリーダイヤモンド」での経済性試算の結果、粗収入額−直接経費は無処理区より遮光区で多く、遮光処理により収益性は向上する。
- 7月上旬定植で、抽台1〜2週間前である8月に遮光処理を行うことで、「キノルージュ」で9月中旬〜10月上旬に採花される一番花では、50%遮光区で切り花品質は向上するが、日照不足の年ではその効果が弱く、さらに通常年でも規格内採花本数は減少する(表3)。
- 越冬作型の「キノブラン」において融雪後に株を地際で刈り込むことにより、前年4月定植の株では到花日数は長くなるものの、前年定植4、5、6月の全てで採花株率が向上し、規格内採花本数も増加したことから、安定的な切り花生産が可能となる(表4)。
[成果の活用面・留意点]
- シネンシス系スターチスの夏秋期の切り花品質向上および越冬作型における切り花安定生産のための資料とする。
- 越冬作型については滝川市での結果であることを考慮する。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「シネンシス系スターチスの遮光による品質向上と越冬作型の生産安定化」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:シネンシス系スターチスの高品質栽培技術
予算区分:道費(一般)
研究期間:2007〜2009年度
研究担当者:海保ひとみ
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