バイオディーゼル品質規格に適合する脂肪酸組成を有する油脂蓄積酵母


[要約]

[キーワード]

[担当]北海道農研・寒地バイオマス研究チーム
[代表連絡先]電話011-857-9260、電子メールseika-narch@naro.affrc.go.jp
[区分]バイオマス、北海道農業・畑作
[分類]研究・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. K. lactisはチーズ中に多く検出され、それらの中にはTG含量に差異が見られる菌株が存在する (図1)。9点の検体から分離した43株のうち、TYC-269株が最もTGを蓄積する(乾燥菌体重量当り1.1 wt%)。
  2. TYC-269株は、てんさい糖蜜(糖濃度1% (w/v)に調整)、大豆由来窒素源1%、酢酸アンモニウム1%からなる培地 (初発pH7.0)により、30℃、200 rpmで30時間培養することで、TG含量が乾燥菌体重量当り24.0 wt%まで蓄積する (図2)
  3. TYC-269株のTGの脂肪酸は、飽和脂肪酸 (11%)、パルミトレイン酸 (17%)、オレイン酸 (43%)、リノール酸 (27%)およびリノレン酸 (2%)から構成される (図3)
  4. TYC-269株から製造したバイオディーゼルのヨウ素価は103、およびセタン価は51と推定される(表)。TYC-269株は、菜種および廃食油を原料とした場合と同様に、全国バイオディーゼル燃料利用推進協議会の4項目の規格(飽和脂肪酸含量(≦15%)、リノレン酸含量(≦12%)、ヨウ素価(≦120)およびセタン価(≧51, 揮発油等の品質の確保等に関する法律では≧45))にすべて適合する。

[成果の活用面・留意点]

  1. K. lactis TYC-269株は当所および特許微生物寄託センター(寄託番号 NITE AP-525)で保有しており、許諾手続きを経て分譲可能である。
  2. K. lactis TYC-269株は、てんさい糖蜜に含まれるスクロースの他、ラクトースならびにグリセリンの資化性を有することから、チーズホエーやバイオディーゼル製造の際に副生する廃グリセリンも増殖炭素源として利用できる。

[具体的データ]

[その他]




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