モッツァレラタイプのチーズ製造過程における放牧飼養乳中脂肪酸の変化


[要約]

[キーワード]

[担当]北海道農研・集約放牧研究チーム
[代表連絡先]電話011-857-9260、電子メールseika-narch@naro.affrc.go.jp
[区分]北海道農業・畜産草地、畜産草地
[分類]技術・参考


[背景・ねらい]

[成果の内容・特徴]

  1. 放牧草の乾物採食量約13kg/日程度の生産乳を原料とする場合、脂質/蛋白質に変化はないが、舎飼い飼養乳と比べて無脂固形分は低い。モッツァレラタイプのチーズ製造過程において、スターター(ST-M5:Streptococcus thermophilus, ABT-3:Streptococcus thermophilus, Lactobacillus acidophilus, Bifidobacterium lactis)添加から練圧目標pH(平均5.29)に達するまでの時間は、放牧飼養乳を原料とすると短くなる(表1)
  2. CLA(c9t11)及びCLA(t10c12)濃度は、全ての製造過程(原料乳、カード、チーズ0日目)において、放牧飼養乳区が舎飼い飼養乳区に比べて高く、c9t11では約3倍以上、t10c12で約2倍の濃度となる(図2)
  3. チーズ0日目から5日目までの貯蔵(4℃5日間)によるCLAの濃度変化は見られない(図2)
  4. CLA生合成経路に関与するステアリン酸、オレイン酸、αリノレン酸、バクセン酸(t11)は(図1)、CLAと同様な濃度変化を示し、放牧飼養乳区が舎飼い飼養乳区に比べて有意に高い(表2)

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果に用いた乳酸菌及びビフィズス菌は、クリスチャンハンセン社から発売されているST-M5及びABT-3である。ABT-3は、ヨーグルト等の機能性乳製品製造用のものであり、放牧飼養乳を原料とする乳製品製造・販売する際の高付加価値化に活用できる。
  2. 本成果におけるバクセン酸(t11)、CLAについては、生合成メカニズムはもとより風味や物性に及ぼす影響についてのさらなる検討が必要である。

[具体的データ]

[その他]




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