「北海地鶏II」雌種鶏の素雛生産性向上技術
[要約]
北海地鶏II雌種鶏に対して量的制限給餌を行うことにより産卵率が改善するが、量的制限給餌が困難な場合は、育成期の質的制限給餌および産卵後期の誘導換羽によっても産卵率が改善し、素雛生産性も向上する。
[キーワード]
北海地鶏II、雌種鶏、制限給餌、誘導換羽、素雛、生産性向上
[担当]道立畜試・家畜研究部・中小家畜飼養科
[代表連絡先]電話0156-64-5321
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]技術・普及
[背景・ねらい]
北海地鶏IIの雌種鶏は産卵率が低く、素雛を生産する上で問題となっているが、肉用鶏の産卵率は、飼料給与量の制限や産卵後期の換羽処理によって向上が期待できる。
そこで、育成期と産卵期の制限給餌および産卵後期の換羽処理を調整することにより、産卵率の改善を図り、素雛生産性向上の可能性を検討する。
[成果の内容・特徴]
- 雌種鶏の量的制限給餌では、育成期に飽食時体重の65%となるよう給餌量を制限し、産卵期では産卵率の増減に沿った制限を行うことにより、飽食給与よりヘンディ産卵率および70%以上産卵週数が増加する(表1)。
- 育成期の質的制限給餌は、もみがらを重量比で35%混合した飼料を給与することにより、量的制限給餌と同じ増体抑制効果が期待できる。
- 強制換羽では21日で体重が25%減少し産卵は9日で停止するが、ふすま主体換羽飼料による誘導換羽では体重減少まで67日かかり、産卵は停止しない(図1)。
- ふすま主体換羽飼料にもみがらを75%混和した飼料による誘導換羽では、強制換羽と同様に産卵が停止したが、50%では1カ月を経過しても産卵は停止しない。
- もみがらを75%混和した飼料で誘導換羽を行った区のヘンディ産卵率は、強制換羽および飽食と同程度であるが、70%以上産卵週数は8週と長い(表2)。
- もみがら75%の飼料で誘導換羽を行った区の産卵停止までの体重変化は、-67.5g/日と強制換羽の区の-113.5g/日より少なく、鶏への負担が低いと考えられることから、誘導換羽を行う場合、換羽用飼料にもみがらを重量比で75%混和した飼料が適当である。
- 19週齢時羽数を100羽とした群で素雛生産数を試算すると、全期間量的制限を行っ た群が8,013羽と最も高く、飽食給与とした群が4,874羽と最も低い(表3)。
- 育成期に質的な制限給餌を行い、産卵期に誘導換羽を行った群の素雛生産数は7,791 羽と、量的制限を行った群には劣るが飽食給与の群よりは高い。量的制限が難しい場合は、育成期の質的制限給餌と産卵後期の誘導換羽を行うことにより、従来の飽食給与より素雛生産性が向上すると試算される。
[成果の活用面・留意点]
- 本成績は、適切な光線管理を行った条件下でのものであり、北海地鶏II雌種鶏の飼料給与法として活用する。
- 育成期は尻ツツキが懸念されるので、1羽当たりの餌箱の間口は十分に確保する。
- 換羽用飼料ともみがらを混ぜる場合は、選び食いを避けるためよく混和する。入手可能であれば粉砕処理したもみがらを用いることが望ましい。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「「北海地鶏II」雌種鶏の素雛生産性向上技術」(指導参考)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:「北海地鶏II」雌種鶏の素雛生産性向上技術
予算区分:受託(民間)
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:國重享子、山内和律、中村直樹、藤川朗
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