BSE 診断における磁性粒子BL 法の検証
[要約]
磁性粒子BL 法は、BSE プリオン感染牛を用いた検証により、発症前のPrPSc 蓄積初期段階でもPrPSc を検出でき、BSE 診断に有効である。
[キーワード]
[担当]道立畜試・基盤研究部・遺伝子工学科、感染予防科、病態生理科、受精卵移植科、動物衛生研・プリオン病研究センター、北海道大学大学院・プリオン病学講座、帯広畜産大学・家畜病理学教室、岐阜大学・食品環境衛生学教室、栄研化学
[代表連絡先]電話0156-64-5321
[区分]北海道農業・畜産草地
[分類]研究・参考
[背景・ねらい]
牛海綿状脳症(BSE)において生前診断は今なお困難である。安全で安心できる北海道産畜産物の供給とBSEの早期清浄化を図るため、これまでに開発した磁性粒子BL法の実用性の検証を行う。
[成果の内容・特徴]
- 磁性粒子BL法は、道内BSE患畜5頭(21例目:視床、22例目:線条体、26例目:視床、27例目:大脳髄質、29例目:視床)の脳5mg組織等量からPrPScを検出でき(図1)、特に脳幹部に隣接する視床で高い値を示す。
- 国内BSE患畜5頭の脳を用いた磁性粒子BL法とELISA法の比較では、従来法のELISA法のOD値に対して磁性粒子BL法は高い相関(R2 = 0.9537)がある(図2)
- 磁性粒子BL法は、蓄積初期段階の状態である脳内接種後12ヶ月のBSEプリオン感染牛をはじめ、解析したBSEプリオン感染牛17頭(道内BSE患畜5頭、脳内接種12頭)すべてからPrPScの検出が可能であり(図3)、BSE診断に有効である。
- BSEプリオン感染脳を試料として超音波処理を行い、その反応産物中のPrPSc検出を磁性粒子BL法により行うと、処理前に比べ高い反応を示し、超音波処理と磁性粒子BL法の組合せが良好である。
[成果の活用面・留意点]
- 本課題の成果は、BSEの生前診断および発症機序の解明のための研究に用いる。
平成21年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分
「BSE診断における磁性粒子BL法の検証と診断マーカーの探索」(研究参考)
[具体的データ]
[その他]
研究課題名:高感度プリオン検出技術に基づく新しいBSE早期診断システムの開発
予算区分:道費(重点領域)
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:福田茂夫、甲田洋子、澤井健、陰山聡一、森安悟、尾上貞雄、藤井啓、二階堂聡、仙名和浩、伊藤めぐみ、桜井由絵、松井義隆、川本哲、草刈直仁
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